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バトルロワイアル2

バトル・ロワイアル II 鎮魂歌(レクイエム) 通常版 [DVD]
こういう作品はもちろん好き嫌いがある。「映画」という「エンターテイメント(娯楽)」の中で、こんなにも重いテーマのものを見る必要があるのか?と、思うこともある。中学生 vs 中学生 の戦い。これほど未来の無い、不毛な戦いはそうない。

個人的には問題作として話題となった「バトルロワイアル」(前作)の方が好きだ。生徒達それぞれの思いや行動はキチンと(まぁ、強引な部分もあったけど)考えられているし、それぞれのキャラクターが立っていたと思う。戦うことを拒否し、自ら死を選んだ崖から飛び降りたカップルや、"女である"ことも武器に戦う少女。いろいろな立場や考え方のある生徒達の葛藤と苦悩が描かれていたと思う。

とはいえ、実は一番気に入っているのはキタノ先生だ。「今日は皆さんに、ちょっと殺し合いをしてもらいます」というセリフや、「おはよーございまーす!」なんていう気の抜けた放送は、異常ともいえる状況を表していて、その存在感は明らかに彼じゃなければ表現できなかったんじゃないか?と正直、感心してしまった。

さて前作の話が続いてしまったが、今回の作品についてももちろん触れてみたい。今回はテーマが「テロ」となってしまっている関係もあるのか、生徒同士の心の葛藤の様な部分はあまり深く表現されていない。話も"戦争"という国際問題にまで膨らましている。基本的には個人同士の1対1の戦闘だった前作と違い、チーム戦となっている部分も大きく違う。スケールの大きさがある意味、無個性な戦いとなってしまいインパクトに欠けてしまったな〜という感がある。と言う訳で、前作と本作は続き物であるが、扱うテーマが若干違う。

そして、今回一番気に入ったのはやっぱりキタノシオリ役の「前田愛」だった。前作のキタノ先生の娘役として(声だけだが)登場している。他のどの生徒役の人たちよりもやたらと決まっていてカッコイイのだ。銃の扱いに慣れ、戦闘の仕方があまりにも決まり過ぎている感じは「中学生って言う設定なのに、どこで訓練を受けたんだよ!?」とも思ったが、それはそれとしてなかなかいい味を出していた。残念ながら映画と言う時間制限と上記のテーマの内容に影響されてあまり味が出し切れていない感じもしたんだけど。もっと、彼女をテーマの中心に持ってきた方がストーリーは盛り上がった気がする。個人的には。

とりあえずそんな感じ。

でも、ネタバレな話をいくつか書きたいので、ここからは見ちゃイヤンよ。と。

前作に比べ、ちょっと冷めた感じで見てしまう所がいくつかあった。

その1.自衛隊の戦い方。

明らかに素人っぽい攻め方だ。いくら自衛隊が実戦経験に乏しいといっても、あまりにも無防備な突っ込み方をする。もっと効果的な攻め方はいくらでもあると思うのに、中学生と同じレベルで戦っている。死者の数では明らかに自衛隊側の方が多い。ちょっとリアリティーに欠けると思った。

その2.ボートによる突入作戦。

これも明らかに素人っぽい戦い方だ。夜間に突入することの方が自然なのに、朝っぱらから堂々と正面突入している。これが、生徒達が決めたんならともかく、自衛隊側の自動操縦というんだからちょっとどうなのよ?と言いたい。これで、半数近くの生徒が死んでしまっている。無謀すぎないか?作戦としては。せめて、防護盾で前面をガードしつつ突入するのが定石じゃないか?

その3.物資補給ゲームの必要性。

前作がゲームだったこともあり、武器がランダムに与えられたのに対し、今回は武器・装備は一様に与えられている。そして、突入前の事故を防止するために弾薬は別途支給というのは判るが、ここに「アタリ」「ハズレ」の要素を持ってきた意味がわからない。これもゲームだってことなのかもしれないが、本来の目的は「テロリストのリーダーを倒すこと」だ。「ハズレ」を与えるだけ、目的達成の可能性を自ら下げているだけなんじゃないだろうか。

その4.タグマッチの必要性。

映画、「スターリングラード」の中に出てくる冒頭のシーンで、2人1組で戦場に突入させられるシーンがある。一人に武器、一人に予備の弾薬を与え、一人が倒されても武器と弾薬を奪いあうことで戦おうとした無謀なる人海戦術だ。それに比べ、今作では「一人が死んだらもう一人も死ぬ」という戦い方をさせる。これでは単純に「戦いのリスクを倍増させている」だけである。敵前逃亡を防ぐ措置は既に「首輪」と「禁止区域の設定」でカバーされていると思うのでいらないと思うんだけど。

その5.逝ってよし。

一箇所、噴き出してしまったシーンがある。後半でオタクっぽい生徒(名前失念)が、告白するシーンだ。逃げるのか、戦うのか選択を迫られるシーンで彼は「僕はどうしたら?」と迷う。周りの男子生徒は「自分で決めるんだ」と言い放つ。彼は密かに思いを抱いていた少女に「好きでした!」とその場の勢いで告白する。ここまでは判るんだが、その後の少女のセリフが問題だ。「いってこい」。告白されたシーンでこのセリフはどうかと思う。もちろん、彼女は彼のことなんか好きじゃないと思う。でもここでそのセリフを言ってしまうと、「ふざけんじゃないわよ。死んで帰って来るんじゃないぞ」と言っているようなもんだ。あまりにも非情すぎる。せめて、彼には「告白した勢いで自らの意思で"行ってきます"」と言って欲しかった、と思ったりする。


ふぅ、一気に書いてしまった。実は他にも書きたいことは山ほどある。それだけいろいろあったんだが、今日のところはこの辺で。