契約と約束 (2)
昔から、「ストーリー」を作る上では、何らかの制約、縛りを用意する。主人公の置かれている立場や生い立ちや家庭環境だったり、運命的な何かだったり。そして、それがあるが故にストーリーに重みを持たせることが出来るとも言える。
その中でも「契約」というキーワードは確かに典型的なパターンの1つとして存在していた。だが、「契約」という縛りは、強力に作用してしまう事がある側面が強かった。
一方、「約束」というのもまた、ストーリーの縛りを作る上で良く使われるキーワードだった。「契約」とは異なり、「約束」はもっと軽いものではあったが、ストーリーの流れの中で、とても大切なものとして十分に機能していた。
マンガなんかはとても判りやすい。
たとえば、「タッチ」なんていうのは典型的な「約束」をテーマにした作品だ。南ちゃんの「私を甲子園に連れてって!」が、2人の双子の心に共通の「約束」として刻まれ、最後までストーリーの軸となって機能している。あれは契約ではない。
たとえば、「デス・ノート」なんていうのは典型的な「契約」をテーマにした作品だ。超常の力を手に入れる為に死神と取り交わす契約があるからこそ、あのお話は成り立っているといえる。あれは文字通り契約、取引の類であり、決して約束ではない。
この2つだけを考えてもハッキリしているものがある。
守るためにする努力の違いだ。