みた、こと。きいた、こと。

合言葉はSite Seeing

自分の世界。

幼い子供の頃。自分では感じてはいなかったが、とても狭い世界で生きていた。家族と幼稚園や学校の教室で会うような友達以外には世界を感じることは無かった。TVの映像も世界を感じるというよりも、自分の世界の中の小さな出会いのひとつでしかなかった。

ある程度年齢が進むと、世界が広がり始める。友達ではない知り合いも沢山出来、いつしか自分が大きな世界の中の小さな存在である事に気付く。そのスケールの違いに戸惑い、若さゆえの可能性の多さに自分の進むべき方向を見失うこともありつつ、あっという間にその多感な時期を駆け抜けていく。

いわゆる大人になると、その辺りの感覚も薄れ始め、自分の世界と自分以外の世界の境目をあまり意識しなくなってくる。様々な人との沢山の出会いの中で人生を彩りながら。だが、逆に広い世界の中に取り込まれていく自分の影の薄さに愕然とすることもある。

自分の世界は歳を重ねる毎に広まっていくが、世界は徐々に薄まっていく。

子供の頃に感じていた、濃密なまでの小さな自分の世界とその世界にいる人々との関係が、いつしか薄まっていき、その時々の人々との新たな出会いによるつながりもまた薄いものになっていく。

そして、薄くなることが怖いからこそそれを守る為、人は歳を重ねる毎に保守的になっていく。たぶん、そんな気がする。