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唐突にスカートの話。

唐突にスカートの話を書いてみる。

そもそも、何故スカートは「女性が履くもの」になっているのか。最近ではファッションの一環として男性が履く「メンズ・スカート」というジャンルもあるそうだが、一般的には世界共通的にそういう傾向になっている。

別にファッションにも歴史にも詳しいわけじゃないし、根拠もなにもない話なんだけど、とりあえず自分の中の整理という事で書いてみる。もちろん、エロい話じゃなくて。

なお、文中の「スカート」および「ズボン」の表記は、腰から下を覆う衣装の内、股下で分かれて裁縫されていないものと、いるものを大分類的に表現したものであり、特定の形状を指しているのではないです。

日本におけるスカートの歴史

日本におけるスカートの歴史は比較的新しい方なんだと思う。というか、西洋文化的なモノが入ってきてスカートが普及したのであって、老若男女が揃って着物を着ていたので、見た目の煌びやかさとかでのデザイン上の男女差はあったとしても、ズボンとスカートほど明確な男女差はなかった。

とはいっても、ズボンの様なモノがなかった訳じゃない。股下が分かれて縫われている「袴」というものも普通に存在していたし、それに関して言えば男性だろうが女性だろうが用途と目的に合わせて日常的に利用されていた。

スカートとズボンという名称は西洋的なものではあるが、「腰に巻くひらけた布地の衣服」と「足と腰を覆うようにした布地の衣服」と定義するならば、西洋の文化が入る前から日本には存在していた事になる。

だが、明確ではないとしても、その傾向にはやはり男女差はあった。というか、平安の時代から「男性の礼服」では「袴」となっており、古くから現在と同じ様な傾向があったものと思われる。

例外的な男性のスカート史

有名なものとしては、スコットランドの伝統衣装「キルト」だろう。16世紀くらいから(一次的に政治的理由で禁止されていたらしいが)利用されていたタータン柄の大きな布を腰に巻く、スカートの様な(正確には筒状に縫い付けていないのでスカートではない)男性用衣装である。というか、女性は着用を許されていなかったらしい。

そもそも、とても長い布を利用して腰に余り布を巻き付けておき、必要に応じて肩まで上げたり、防寒などの温度調節の為に伸ばしたり縮めたりして利用していたらしい。そういう意味では、衣服の中でも普段着というよりも外套に近かったのかも知れない。

キルトの着用自体は日常の生活の中で幅広く利用されていたようだが、タータン柄には「家紋」的な意味があった。非常時の旗や目印の役割を果たすためのものとして機能していたことを考えると、その背景からも軍服的な側面があった事は明白だ。

繰り返すが、これは衣装としての「スカート」の定義からは外れるものと思われる。

文明誕生まで遡って

人間が動物から進化して誕生したことは自明の理であるが、動物の時代はそもそも衣装なんてモノはなかった。つーか、ある訳がない。毛皮を着ていたワケだし。道具を使うことを覚えて、衣装を作った、衣装が誕生したのだが、そもそも何故衣服というものが誕生したのだろうか。

現代人にとっての衣服は「ファッション」としての側面が強いが、当初の目的はたぶん「自然からの防衛」だった。毛皮を捨てた人類が、直面した問題としては「防寒」と「日焼け」であったろうという事は想像に難くない。

世界史で習う世界四大文明は「メソポタミア、エジプト、インダス、黄河(長江)」である。これらの文明が発達した背景としては「暖かく安定した農耕に適した気候だった」と一般的には言われている。そういう意味ではそれほど寒くなかったろうし、この時代は裁縫技術が発達していなかった為に布をかぶって腰に紐を巻くというスタイルだった事を考えるならば、気候的にもスカート的なもので十分で、ズボンかスカートかの明確な男女的区別はなかったものと思われる。

いや、更に前の時代まで遡るならば「腰に布を巻く」程度までになるハズだ。巨大な布を作れなかった時代は、体の一部分を覆うのが限界だったハズだ。スカート全盛期の時代とも言える。

そんなこんなの当たり前な流れから考えると、裁縫技術が発達した際に「スカート」と「ズボン」に別れて行き、その過程で男女差が生まれたものと思われる。

スカートのデメリット

とはいえ、スカート的な衣装が万能だったのならば、ズボンは誕生しなかったと考えることも出来る。となると、スカートには当時からデメリットがあったわけだ。

機能的な面でのみデメリットを上げるならば、

  • 丈が短いと防寒には向かない
  • 丈が長いと動きづらい
  • 馬などに跨れない

となる。特に後段の2つは農耕と狩猟で栄えてきた人類にとっては大きな欠点だったのだろう。人類誕生以前の動物だった時代から、オスとメスは子育てに関して役割を分担して来た。動物の種類によってはその役割が違うこともあるが、人類は主として「女性が子供を守り」「男性が狩りに行く」というスタイルだった。*1

そうなれば、「動きにくい」というのは致命的であり、戦や狩りなどに向かう際に利用する馬などに乗れないことは、強さを誇示できないことに繋がったと思われる。故に、男性がズボンに変化し、女性は変化する必要なくスカートのままだったと考える事が出来る。

そう考えれば特定地方の民族的な所以ではなく、世界的に同じ傾向になっていった事もなんとなく頷ける。

現代におけるスカート考

先にも書いたが、基本的に現代の衣装は殆ど「ファッション」としての側面が強い。

前段で書いた通り、動きづらいという欠点があるにしても、公共交通機関の発達で、一日中、自分の足で走り回らなければならないようなことは比較的少ないし、ましてや馬に乗るような事もない。鉄の馬とも揶揄されるバイクはともかく、スクーターやママチャリなどの跨らなくてもいい乗り物が安価に登場しているし、スカートによるデメリットはかなり解消されてきていると言えるのではないだろうか。

寒さに関しての問題も、ファッションの1つとしてタイツが既に存在するし、最近ではスカートの下に丈の短いズボンを履くというのも決して珍しくはなくなってきたし。

男性がスカートを履くことへの抵抗というのは社会的背景や歴史的背景などから少なからずあるが、ズボンの誕生はそもそもこういう経緯なんじゃないかという事を漠然と考えていくと、社会が進化していけばしていくほどスカートのデメリットは緩和されていくワケで、ファッションのジャンルとしてメンズ・スカートが登場したのも、決して頷けない話ではないのかもな〜と思ったりした。

というか、何十年か先にはスカート全盛期が改めてやってくるかも知れない。

あとがき

なんで、唐突にこんな話を長々と書いたのかと言えば、強風関連のTVニュースがスカートを手で押さえる女性を映しているのを見ながら、妄想的にスカートの事を考えていたとか、そういうワケではありません。
・・・とりあえず、そういう事にしておいてください。

*1:これは、女性には妊娠期間があり、授乳などが出来るという生物学的な違いによる所は多いだろう。