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ウインダリア

ウインダリア [DVD]
昨日、台風で「退社指令」が出たこともあり、早く帰ってしばらく前にビデオ録画してあったこの映画を見た。そして、寝床に着きながら「好きなアニメ映画を3つ選んだら何になるかな?」・・・とぼんやり考えてみた。

今チェックしてみたら、昨日選んだ作品が6年以上前に自分で考えたことと*1結論として変わっていなかった!と言う事実に、如何に自分が成長していないのかを表しているようで、正直驚いた。

しかし、逆に言えばそれらは私の中で強く印象づいているという事であるからして、それだけ私にとっては良い作品だったといえるんだろう。という訳で、その中でも「やっとの思いで2回目を見ることが出来た」という、この「ウインダリア」について書いておこうと思う。なんと1986年の作品という事らしいので、もう20年近く前である。今、改めて見てもよく出来ている・・・と、思う。

タイトルの「ウインダリア」とは、小さな村に生えている大きく神聖な巨木の名前である。だが、この木は何も語ることはないし、この木を巡る伝説などのお話という事でもない。最初から最後までこの木はあくまでも「象徴」でしかない。

設定は2つの国の争いと、それに巻き込まれた村のお話といたってシンプル。争う国同士の王子と姫、巻き込まれた村の若夫婦の2組の登場人物により進んでいくストーリーだ。

主人公が2組という時点で内容が分散してしまわないか?という懸念があるかも知れないが、そこがこの映画の良く出来ているところかもしれない。実はテーマに関してはどちらも「約束」というただ1つなのだ。まだ結ばれていない恋人同士、仲の良い夫婦と立場や関係が違うわけで、それぞれする約束の中身は違えども「約束」という人と人との結びつきを表す言葉の大切さを真摯に説いている。そして、その約束を守ることの難しさをも語っている。*2


そして、登場人物が多くなることでごちゃごちゃになりそうな3つの世界を、この映画は判りやすく表現しているところがすばらしい。海の王国「イサ」、山岳の工業国家「パロ」、そしてその2つの国に挟まれているウインダリアの木のある平和な村「サキ」。それぞれ「青」「黒」「緑」で彩られ、戦いと死の世界を「赤」で表現しているのである。

人は死ぬと、赤い鳥になり幽霊船へと旅立つ。死体は残らない。いきなり冒頭で説明なく映像によって語られる、この死の描画はとても印象深い。「死」の表現がそんな感じであり、全体を通して童話的に語られてしまう関係上、戦争という重い出来事に対してかなり軽い印象を受ける。だが、この映画として語りたい部分は戦争の悲惨さそのものではなく、「約束」に対してとった行動が招いた「結果」なのだ。

そして、その結果は決して軽い物では無いことは見終わった後に判ることだろう。


キャラクターデザインが「いのまたむつみ」という事もあって、かなり(萌えとは違うんだろうが)かわいい登場人物と世界観のデザインで構成されている。始まりからしてなんとなくハッピーな感じなので、そのままの世界に浸っていたい気がするが、そうはいかないかなり切ない物語である。元気の無いときには出来れば見ない方がいい。20年近く経った今見ても、語っているテーマの不変さは色褪せてなどいない、すばらしい映画だと思った。


折角なのでさらに個人的な主張をしておきたい。
2組の主人公のヒロイン、お姫様の「アーナス」と、イズーの妻「マーリン」。どちらが好みか?といえば、ダントツで「マーリン」である。たぶん、さらに5年後も10年後も同じ事を言っているような気がする。どんな所が?と聞かれると正直困るんだけど。

もっとも、私はイズー程野心的ではないし、行動派でもないので代わりにはなれないでしょうけど。

*1:過去記事→id:kenbot3:19990318

*2:「約束を守る」ということはとても大切だ。私も反省すべきことがたくさんあるな、と自らを戒めて見たり。うーん。。。