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CUBE

CUBE (期間限定生産) [DVD]
「怖い映画みたい?」と親父に聞いたら「よし!見たい!」というので、丁度やっていたコレを見せた。夜に映画を見せると途中で寝てしまうことの多い親父だが、珍しく興味深そうに最後まで見ていた。自分が見たのは数年ぶり*1だったんだが、改めてその凄さを知った。

今回はネタバレを承知で少し突っ込んで書いておきたい。

この映画を一言で表すと「死と隣り合わせの閉鎖空間に閉じ込められた人間の心理・行動の恐怖」である。登場する人物達が始めは助け合うのだが、次第に崩れていく人間関係をリアルに描いている。


この映画の面白さを掘り下げて考えてみた。

まず、「ありえない世界設定」である。CUBEと呼ばれている閉鎖空間は、一切が謎に包まれたままであり、そこには全く現実感はない。なぜワナが仕掛けられているのか、なぜ自分達はそこに居るのか、そもそも何故こんな建造物があるのか。一切が明らかにされぬままであり、その現実感のなさがこの映画の最大の売りである。

そして、それとは対照的な人間心理のリアルさが描かれている。これは世界設定が現実的で無いからこそ、よりリアルに感じられるのかもしれない。現実的な世界設定であれば、どうしても「他の様々な環境的要素」がストーリー上味付けされてしまい、どうしてもそこだけを深く描ききることは難しくなる。

また、CUBEの発動する恐怖のワナは「人が理解できる物理的な説得力」を持たせて設計されている。どういう仕組みか判らないという意味不明・理解不能なワナではなく、「これなら本当にありそう」というリアルな恐怖感がそこにはある。

非現実と現実、この辺りの割り切り方のバランスがとても凄いのだ。


さらに凄いと思ったのは、「トラップの配置」にある。位置ではなく、映画として "いつ見せるか" の時間的な配置の話だ。良く考えると、トラップで死んだのは実は「2人だけ」だという事に気が付く。

しかも、その内の1人は「名前すらない」人で、オープニングでの出来事である。だがそのインパクトはとても強烈に脳裏に焼きつき、その次の犠牲者で決定的となる。だが、実はそれ以降は(トラップの存在こそあれ)誰も死んでいないのだ。それにも拘らず、私達は見終わるまでワナの恐怖に怯え続けなくてはならない。それは「全てが謎のCUBEだからこそ、何が起こるか判らない」という「環境の非現実感」がとても大きく影響している。

意味がありそうなキャラクターたちの背景、そして謎めいた世界。

全てが解き明かされる事が映画としての完成ではないことを思い知らされた感じだ。


CUBE2 キューブ 2 特別版 [DVD]
ついでに機会がなくて紹介できなかった「CUBE2」も取り上げておこう。

もちろん、CUBEの続編であるが、登場人物は一新している。って、あたりまえだ。さらにワナも基本的に新しくなっているようで、前回では考えられなかったようなトラップも出てくる。でも、正直言って単発で紹介したい内容ではなかった。無理に2を見るよりも、謎は謎のまま1で終わっていた方がむしろ気分がいい。なんか、どこかズレてしまったような感じがするのだ。

3を作る予定もあるという話をチラリと何処かで聞いた気もするが、今の所あまり期待していない。ま、これは噂かも知れません。そこは謎って事で。

追記(06/20)

3作目は既にあるそうです。タイトルは「CUBE ZERO」だそうです。時代的には1作目の前に当たるらしい。へぇ〜。ドラクエといっしょじゃんか(爆)

*1:CUBE:過去記事→id:kenbot3:19990816