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ブレス・ザ・チャイルド

ブレス・ザ・チャイルド [DVD]
そこそこ面白かったんだけど、たぶん直ぐに忘れちゃいそうな映画かもしれない。そんな訳でちゃんと書いておかなくちゃ!な映画だった。そんな訳で感想は「微妙」っと。

ストーリーを書いても忘れちゃいそうなのでいっそのこと!とネタバレで突っ込んで書いておきたい。忘れる前の備忘録。

「祝福された子供」を探して猟奇的連続殺人を繰り返すカルト集団。母親ではないが、妹の子供を大切に育ててきた主人公。狙われていたのはその娘だったのだ。教団に連れ去られた子供を救うため、主人公の彼女は命がけで戦いを挑む。果たして、彼女は子供を救えるのか!

と、ストーリーはかな〜りシンプル。でも何箇所も気になったところがあった。

その1.カルト集団の存在

カルト集団の割りに、世界的な組織らしくてやたらと知名度が高い。信者もかなりの数に上っていて、あちこちに関係者達が潜伏している感じ。地下鉄での惨殺事件や橋での逆走事件など、どう考えても大事件になりそうなものがさらりともみ消されちゃったりするあたりとかなんだか不気味を通り越して「おかしくない?」って感じ。

ついでに言えば、そんな統率者な大富豪はリムジンで移動しているのに、住んでいる場所はやたらとスラムっぽい所で、どこが駐車場なん?って思ってみたり。あれじゃ、いくらなんでも話題になるだろう。っていうか、みんな周りは関係者だから?

その2.結婚のタイミング

子供の母親である主人公の妹と、カルト集団の統率者が結婚したのは1ヶ月前だという。出会って直ぐに結婚してハネムーンまで楽しんできたといっている。それがおかしいとは思わないのだが、気になったのが事実。

実は「その1ヶ月の間に子供の誘拐事件起きてたでしょ?」という事だ。妹と結婚した最大の理由は「娘が祝福された子供だと判ったから合法的に手に入れられる」と考えたからであって、そこまでハッキリと所在がばれているのなら、他の子供に手をかける理由がないのである。実際、手に入れた後は殺人事件は起きていないという。

その3.警察の無能っぷり

宗教団体の統率者の自宅の場所や電話番号が「いくら調べても判らない」とか、死体についている傷や地面に書かれたマークなどに誰も気付かないという無能っぷり。めちゃくちゃ頼りにならない。この頼りにならなさが「組織が実は警察内部にもいて操作されている」という方向だったらまだアリかな?とか思ったんだけど、そうじゃないからなんとも情けない。もっとも、そこまでやったらストーリーが破綻しそうですが。

その4.子供の特異性

祝福された子供なので、普通の人とは違う・・・という事は見ていて判るんだけど、いまいち祝福され具合が微妙なのだ。お皿や物を回したりするのは「神の祝福」というより「超能力」の感じが強い。「ハトを生き返らせる」シーンはソレっぽいし、教会で蝋燭に火をつけるシーンもいい感じだと思ったが、マリア像が涙を流したのは微妙だと思った。しかも「マリア様が泣いちゃった」では、祝福っぽさが微妙に伝わらない。

その5.試されるシーン

カルトな統率者に屋上に連れて行かれ、手すりの上に立たせられて「神に祝福されているなら飛び降りてみろ!」「そう思わないなら私の手をとれ!コチラ側に来い!」と、いろいろ罵られるちょっとハラハラするシーンだが、子供のセリフに少し引いてしまった。
「お先にどうぞ」
これでは意味がわからない。結果的にうやむやになってしまった感じだったが、あのシーンはなんだか歯切れの悪い印象だった。

その6.車椅子の少女

車椅子の少女とすれ違うシーンがある。子供がその少女に抱きつき(その前にも浮浪者に抱きつくシーンがあったが)心同士が通じ合う・・・という場面だ。とても感動的なんだけど、実はひねくれものの私はこう思った。
「あれ?怪我ぐらい治してくれないの?」
と。だって、ハトだって生き返らせたじゃない。人間だって治してあげようよ。そのぐらいできるんでしょ?祝福された子供なんだから!と。

あの場面では時間がなかった・・・のかもしれない。でも、それを示唆するぐらいのインパクトを入れてもよかった気がする。

その8.ラスト(1)

決戦のシーン。遠くの修道院では2人(主人公と子供)の無事に祈りをささげてくれているワケです。あれだけの人数が集まっているんだから。だったらさ〜、やっぱり神がかり的な奇跡で助かって欲しい訳ですよ。もちろん、助かった訳だけど、瀕死の重傷を負う主人公。修道院での祈りは何だったの?とか一瞬思った。

さて、このシーン。私だったらどうするか?といったら「妹が飛び出す」ね。母親としての自覚を見せて欲しかった。せめて。で、命を落とすんだけど娘が力で生き返らせる、と。その方がスッキリすると思うんだけどな〜。

その9.ラスト(2)

最後のチンピラのシーンも微妙にどうでもいいよ、って感じだった。最後にハラハラさせるシーンをもって行きたかったのかもしれないが、子供が一睨みで退散する始末。せっかくなら神様に守られるように「何かが起きて」欲しかった。

ついでに言えば、誰でも受け入れる聖母の様な子供なのに、自分の母親を受け入れないのはどういうわけなのか?と。別に悪魔に魂を売ったわけでもないし?とか思ったり。その8で書いた展開にすれば、その後は「お姉さんと妹、その娘」の暖かい家庭が築けるね!ってラストに出来た気がするんですけど。


とまぁ、どうにも中途半端な感じがしてやたらと気になってしまった。「神の奇跡」を前面に出すんなら、もっと強い引きが必要である。中途半端に前半から力を出しちゃったことで、見ている人は「常にそれ以上の奇跡」を求めてしまったような気がする。

いつも以上に長文で書いてしまったが、一番怖かったのは「お婆さんである」と最後に記しておきたい。あとはどーでもいーや。投げやり。