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キャスト・アウェイ

キャスト・アウェイ [DVD]
もう2回も自分の日記で【参考】として登場させておきながら、一度も本編の内容について触れていないのも、どーなのかと自己反省し、この機会にちゃんと書いてみることにした。個人的には結構好きな映画だ。

折角なので、ちょっと突っ込んだ話がしてみたい。つまり、ちょびっとだけネタバレ気味。

ぶっちゃけ、事故で無人島に流れ着いちゃった男の人がどうやって生き抜くか!というサバイバーな映画である。やたらと泥まみれてて男臭い感じがするし、見終わった後は壮絶なサバイバルシーンが目に焼き付いちゃって離れなくなるんだけど、興味深い点が4点ある。

まず、コレだけは最初に言っておかなければならないのが「トム・ハンクス」の演技力だ。なんか力強さを感じさせるし、もうなんか感動しちゃう訳ですわ。特にこの映画の場合は、「誰もいない無人島」なので常に一人演技。だから、遭難直後なんて「一言も喋らない」ワケですよ。怪我した時に叫ぶぐらいで。これ、逆に喋ってたら違和感が出ちゃうんですよね、きっと。でも、体で何をしたいのか、何を考えているのかちゃんと判る。本気でスゴイと思った。

で、それじゃ映画になら無いから?という事で2つ目の興味深い点が、相棒の登場ってワケ。それが「ウィルソン」。彼が登場してからなんかほのぼのとした無人島生活に感じるようになる。さて、それは誰?って思った人はちょっと見てのお楽しみにしてもらいたいんだけど、彼を登場させようと思った脚本はスゴイと思った。

そして、脚本という点では主人公の事故も良く出来ている。事故そのものではなく、「航空貨物便の事故」というのが「うまいな〜」と感心した。主人公が生き抜く上で必要な道具が(そりゃ全部じゃないけど)だいぶ揃っちゃう。まぁ、ちょっと強引な気がしなくもないんだけど、これが普通の飛行機だと被害者が出過ぎちゃって悲壮感の方が強くなるし、逆に船での遭難だったり、ヘリの遭難だったりと状況を変えて想像してみると、それぞれ「彼は生き残れないんじゃないかな?」という気がしてくる。ある意味、絶妙。

最後の4つ目はラストシーンである。ハッピーエンドともアンハッピーとも取れる終わり方である。壮絶な無人島でのサバイバルを生き残ったんだから、やっぱりハッピーエンドで終わって欲しいというのが正直な気持ちだ。だが、生きて戻った現代社会は既に彼のいない世界で動いており、彼を必要としていない社会だった。無人島で感じていた物とは違う孤独感を味わうことになる。ここまで考えるとアンハッピーなんだが、見終わった後には不思議な清々しさもある。

この映画はサバイバルな話だけではない。極端な程の孤独を味わうからこそいろいろと考えさせられる、奥深いヒューマンドラマだ。