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誰も知らない

誰も知らない [DVD]
主役の柳楽優弥くんがカンヌ国際映画祭で、史上最年少の14歳で最優秀男優賞を受賞した事で有名なこの映画。前からちょっと見てみたかったんだが、TVでやっているのにギリギリ気が付いて見た。なるほど、と思った映画だった。

父親も違う、出生届も出されていない4人の子供たちが、いなくなった母親の帰りを、世間の目から避けながらひたむきに生きていくヒューマン・ドキュメンタリー。日本映画らしく淡々としたストーリーの流れで、ジワジワと想いが胸に染み込んでくる感じ。

もっと凄惨な映画なのかと思ったら、全体的にキレイな作り。もちろん、子供たちの置かれている状況や境遇はあまりにもかわいそうだが、周りの人たちとの不思議なつながりで強く生きていこうとしている様がとても切なくも勇気付けられる作品だ。

なんとこの映画、実際に東京・西巣鴨で起きた事件をモチーフにしているらしい。そして、その事件はもっと酷いものだったらしい。映画にする上で後味が悪くなることを考慮してアレンジを加えたんだろうと思うが、それはそれで良かったと思う。お話をリアルにすればいいってモノではない。要は何を映画の中で訴えたいか、だ。

事故のシーンは良く出来ていると思った。事故の前にそれを予見させるシーンがあり、私たちに何やら悪い予感を与えさせ、起きてしまった事故の悲劇に驚きではなく悲しみだけが残っていく感じにさせている。

しかしこれ、カンヌ国際映画祭で審査員の人は本当に判ったんだろうか。内容というより、生活感が。とにかく日本的な事情がそこここにある。日本人には「あぁ、なるほど」と判る生活のシーンも、世界的に見ればどういう状況なのかわからないんじゃないか?と思う所が結構あった。例えばコンビニでお弁当をもらうシーン。あれは外国人には判らないんじゃないか?*1他にも何点かカンヌな人達は理解できたんだろうか?と思うシーンがあった。チラシの裏に絵を書いている所とか。チラシって、ちゃんと気が付いた?


私は泣く事は無かったんだけど、涙腺の弱い人は気を付けないといけないかもしれない。でも、ラストシーンは不安を残しながらも彼らを応援したくなるような感じで、とても印象深かった。

*1:そうでもないか。ディズニーの「わんわん物語」でも、レストランの裏でパスタをご馳走になってたか・・・。