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レディーファースト。

会社の人に、前のエントリの『騎士道』の話をした。
こういう話は、セクハラと紙一重な部分があるので、本来なかなか会社じゃ出来ないんだけど、そこはあえて踏み越えてネタにしてみた。最近はそれぐらいのことは出来る様になっているし。キャラ作りって大事。
所が、『騎士道の話をしていたのに、いつの間にか「レディーファースト」の話』にすり変わってきている。いや、それは違う。レディーファーストでもないから、これ、と。

以下、会社でもした内容。議論というより自論。

こういうのを会社でするのもどーなの?とホンキで思うけど。

※ 以下の記載内容は、かなり主観的ですので要注意です。

『レディーファースト』とは

一口に、「レディーファースト」と言っても、どうもこの辺りの定義は人によって違うらしい。
なので、『本来』という言い方はしないで、あえて『自分の解釈では』とする。異論も反論も認めるが、受け入れるかは別。
で、『皿洗い』の話の前に、そもそも『レディーファースト』とは?という話をしておく。
私の解釈、認識では、

レディーファースト

女性に恥をかかせない文化の1つとしてのマナー。

と捕らえている。たぶん、そういう解釈はあまり一般的ではないと思うけど。
ちなみに、Wikipediaではこう書いてある。

レディーファースト(英: ladies first)は、日本において言及される、ドアを通る時、椅子に座る時などに、淑女あるいは貴婦人を尊重して優先する英語圏のマナーや習慣。「レディファースト」とも表記される。

うん。それは、そうだと思う。これはこれであっていると思う。
でも、自分は『恥をかかせない』がポイントだと思っている。

レディーファーストの起源

日本では近年になって注目されているものではあるが、欧米でレディーファーストが始まったのは中世時代からといわれている。

では、なぜレディーファーストが始まったのか?というと、歴史的背景の前に欧米のファッションや建物の構造から語る必要があると思う。

もう一度言う。レディーファーストの起源は、(宗教的な側面としての起源説を除けば)中世時代になる。

その頃の女性はスカートの丈が長く、裾が広がっているものが多く*1、足元が見えない女性が躓いたり、転んだりしやすいので、馬車などから降りる段差や階段などで男性が手を差し伸べたり、一緒に歩いたり、後ろにある椅子に手が届かないので、椅子を男性が用意したりしていた。

また、昔のドアは防犯も兼ねて重くて簡単には開かなかったり、開いても洋服の裾などを挟まれたりしやすかったので、男性が先にドアを開けたり、抑えたりするマナーが登場していた。

こういうファッションとしての事情がまずあったのだと思っている。

だが、それだけだと極端な話、優男の、スケコマシ*2のアピールに他ならない。女性を落とすため、気に入られて口説くための、気持ちよくさせるためのサービスをしているだけに他ならない。

そして『騎士道』へ

この『レディーファースト』に丁度マッチした精神論が『騎士道』だった。

いや、変化したと言ってもいい。


騎士が貴婦人への接し方(取り扱い方)を学ぶのには、女性を口説く以上の意味があった。
それは、

『(貴婦人の取り扱いがうまければ)その上についている領主や国王などに取り入る事ができる』

だ。極端な言い方をすれば。
より良い主君に仕えたい騎士的に、女性に積極的にアピールする事は損では無かったのだ。

日本とは違い、騎士の場合は『騎士の精神に反すれば、主君を捨てることも許される』というものがある。一見、謀反のようにも見えるが、部下を使ってクーデターを起こすのではなく、自ら去るという考え方。精神も肉体も強いからこそ出来る選択。

事実、昔の騎士がたくさん登場する物語の数々では、『騎士に見放された国王(暴君)』というシチュエーションは数多く登場し、逆に著名な騎士が馳せ参ずる王こそ、『誉れ高き名王、君主』という展開は珍しくない。

とはいえ、世界に名が知れ渡る有名な騎士はともかく、そうではない場合はいきなり国王に直接面談する機会などそうそう無いワケで、数少ないチャンスとして社交場でその関係者である女性達に気に入られることは、その後の運命を大きく変えることが多分にあったと想像できる。もちろん、紳士的な意味で。

この行為そのものが『レディーファースト』であると言える。

もちろん、女性に対してだけではなく、その場にいる周りの人たちへのアピールにもなっている点は忘れてはいけない。そのアピールが、次に繋がることも少なくなかったのだろうから。

現代のレディーファースト

時代が変わって現代において。
騎士が活躍した時代の王権政治ではなく、仕えるべき主君を求めて旅をする騎士ももういない。レディーファーストはマナーとして残っていたとしても、それはあくまでもマナーであり、自分達の立身の為にはもうならない。当時の騎士道の流れは崩壊しているといえる。

ドアも自動ドア化が進み、エレベーターでは男性も女性も分け隔てなく挟まれているし、足元が見えないまでのスカートを履く女性も減った。むしろ、男性がスカートを履く時代*3である。

もはや、残っているのは女性への『アピール』としての側面だけともいえなくも無い。
だが、だからといって、

女性に恥をかかせない文化の1つとしての(男性の意識すべき)マナー。

として残っててもいいんじゃないかと思う。男性の意識としては。
これは、もちろん逆の意味も含んでいて、

男性に恥をかかせない文化の1つとしての(女性の意識すべき)マナー。

が存在していてもいいと考えている。それがどういうマナーなのかは、あえて書かないけれど。


では、そう考えた場合。冒頭の『皿洗い』の例に戻る。そもそもコレは『騎士道』や『レディーファースト』と関係あるの?と。

自分の定義では、断言できる。

『いずれでもない』

と。もし、『皿洗いをすることが恥ずかしいこと』と考えているのであれば、それはその方が問題ではなかろうか。男性だろうが女性だろうが(面倒くさいという点はともかくとして)衛生的に生活する上では必要な事であって、決して恥ずかしいことではないハズなのに。*4

・・・いや、もし『食器洗い機』が流行っている理由が『恥ずかしいから』だとしたら、私が間違っているということになるが。*5 *6 *7

*1:理由は今回は省略します

*2:今どきこういう言い方はしないのかも知れないが。

*3:唐突にスカートの話。:過去記事⇒id:kenbot3:20080225:1203907690

*4:『ゴミ捨て』については、そういうイメージを持つ人がいるというのは聞いたことがある。

*5:『皿洗いをさせないぐらい(しなくていいぐらい)裕福な(便利な)暮らしをさせている』という解釈なら、それはレディーファーストとはやはり関係ない。

*6:あえて極解するならば(女性から言うのが恥ずかしい)『お願い事』をする前に行動しろというのなら、一種のレディーファーストと言えるかもしれない。

*7:自分定義の意味では、恋愛において『男性から告白する』のはレディーファーストの精神だが、そうでなければいけないと決定しているつもりもまた無い。ついでに言うなら、男性が女性から告白されて断らないのは『レディーファースト』の精神と解釈できるかも知れないが、恋愛において『絶対に断らない』というのも変な話なので、そもそもそういう定義の仕方はおかしいと言える。