みた、こと。きいた、こと。

合言葉はSite Seeing

玄関先にて。

木曜日の夜。雨が降っていた。
家に帰ったら家の玄関の前、階段のところに"何か"が落ちていた。暗かったし良く見えなかったし、何より激しく雨が降っていたのでそのまま家に入った。
金曜日の朝。雨は上がっていた。
玄関を出たらその"何か"の正体が判った。"小鳥の死骸"だった。
死んですぐなのかと思ったが、どうも様子が違う。何かに押しつぶされたような感じだったし、生々しさのようなものはなく、結構日も経っている様に見えた。
推測するに、道路か何かで車に轢かれ、猫か他の鳥によって運ばれている途中でここに落ちてきたんだろう。会社に行く途中だったので、軽いショックを受けつつ、『ごめんね』と心の中でつぶやいてそのままその場を去った。
金曜日の夜。また雨が降り出していた。
会社から帰ってくると、同じ場所で何も変わらずその"小鳥"は雨に打たれていた。公園かどこかに埋めてあげた方がいいかな?と考えたが、雨が降っていることで躊躇してしまい、再び『ごめんね』とつぶやいて自分の部屋に駆け込んだ。
土曜日の朝。雨は上がっていた。
恐る恐る玄関を見たらもう"それ"はいなくなっていた。他の誰かが片付けるということはない。この階段は私しか使わないのだから。
誰かが。誰かがまたそれを運んで行ったに違いない。
昨日の夜、躊躇した自分を恥ずかしく思った。
もう誰もいないその場所に向かって、『ごめんな』とつぶやいた。三度目の。