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座頭市

座頭市 <北野武監督作品> [DVD]
映画の日記を書いているくせに、実は映画の業界や事情に詳しいワケじゃない。基本的に自分の感じたことをそのまま書くようにしているだけで、別に評論をする目的でもないからで。

今日は北野武監督の「座頭市」を書こうかと思う。で、前振りとして言いたかったことは、そもそも私は「勝新の作品はたぶん見ていない」ってことなんだ。子供の頃に見た可能性も無くはないが、記憶に残っていないのでたぶん見ていない。だからオリジナル版と比べてどう!とかいう評価をする気もさらさらないワケなので、その辺りは触れられない。


その点を踏まえた上で次に結論を述べるとすると、この作品は私の中で結構評価が高い。というか、好きな作品である。

この映画は基本的に「時代劇的お約束」で構成されている。日本人として水戸黄門とか大岡越前とか桃太郎侍とか暴れん坊将軍とか必殺仕事人だとか、上げれば限がない時代劇の根本的なストーリー構成、キャラクター配置が計画的に行われている。

そして、その中にコミカルな部分とミュージカルな部分と、その他もろもろの新たな表現手法を組み合わせることで映画として、エンターテイメントとして新しい形に昇華させた結果だと思っている。だから見ていて懐かしいような新しいようななんとも不思議な感覚で最後まで見ることが出来た。

非常に興味深かった点が、その特異なキャラクター性ゆえに完璧なまでに美化され過ぎてしまいそうな所を、「北野武演じる座頭市」はちょっと気味が悪い感じに収めてしまっている所だとおもう。武がもつ独特の落ち着きない雰囲気も、いざという時にはガラリと変わってるという二面性もまた主役としてのインパクトを非常に高めていると思う。

また、浅野忠信演じる用心棒についてもしつこくない程度にストーリーを絡めてある所は見事だと思う。市の戦っている相手にも背景と事情があることをストーリーの中でしっかりと語っている。個人的には夏川結衣との夫婦像はお約束的だと感じながらも、日本男児および大和撫子かくあるべきだと思ってしまったりする。素敵。

「雨」のシーンも特に印象深かったんで、そのことについてはもっといろいろと書きたい部分もあるんだけど、そろそろ仕事に戻らなくちゃならないんでこの辺で。


もっとも、こういう新しい感じの時代劇を受け付けない人もいることは事実かもしれない。私の母親は途中で「もうダメ」といって見るのをやめてしまったそうだ。ま、そういう人もいる。慣れ親しんだ時代劇のそれよりも殺陣シーンはちょっと残酷だし。血が飛ぶ手が飛ぶすわヒデブッ。