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A DOG OF FLANDERS

フランダースの犬 [DVD]
英語で書かれると見慣れない単語で「えっと?」と一瞬思ってしまうかもしれないが、実写版というかハリウッド版の「フランダースの犬」である。戌年ってことで。

さて、この映画に対する評価はどう書いたらいいのか正直に悩む部分がある。理由はまず先に私が「アニメ版で育ってしまっている」という拭い去ることの出来ない事実というか先入観がある事だ。だから頭の片隅でついつい「それは原作と違うし」とか思ってしまうところがあるのも事実。でも、そういう所を考えないようにしてみると、それなりに映画しているのかもしれないな?と最近思い及ぶようになってきた。

という訳で、ストーリー的には紹介するまでも無いであろう、日本人なら知らない人は少ない名作アニメの一つ「フランダースの犬」である。私と同世代の男性諸君ならば「アロア萌え〜」という人もいるかもしれない。え、私?いやいや。いや〜(照れ)。

で、早速「アロア」について語っていきたいんだけど、正直言ってあまりアロアに感情移入というか興味を抱けなかった。ネロの数少ない友人であり、良き理解者であるハズのアロアなんだが、ネロを応援しているという言葉とは裏腹に、なんか態度が子供っぽいままでどうにもネロが振り回されてしまっているだけのように感じてしまう。年頃になったにもかかわらず、ただの幼馴染の域を出ていない。もう少し女性らしさを見せて欲しかったと思うし、どうせならこの辺りは大人っぽさを演出してもらいたかった。

次に主人公の「ネロ」についても語っていきたい。個人的にはこの子はとても気に入っている。演技がずば抜けてうまいか!と言われるとよく判らないんだけど、なんとも助けてあげたくなっちゃうような、守りたくなっちゃうような雰囲気を持っている。女性なら母性本能をくすぐられちゃうだろう。そういえば、どこと無く「滝沢秀明」に似ている気がする。強烈な印象を持っている訳ではないが、それでもこの映画の中ではとても魅力的なネロを演じていると思う。

ストーリー的に気になる点ということでいうならば、この映画に関しては「大人の映画」であると言えるだろう。お父さんとお母さんがアニメ版のつもりで自分の子供達に「ほらほら、フランダースの犬だよ。かわいいでしょ〜?」なんてつもりで見せようものなら、そのストーリーにちょっと驚かされるかもしれない。暴行・格闘シーンはあるわ、情事なシーンはあるわ。子供に「ねぇ、あの悪いおじさんは小屋で何してたの?」なんて聞かれて慌てないでいただきたい。ネロとお母さんと先生の関係も大人の事情って奴なワケで。*1

で、最後にタイトルになっている「フランダースの犬」、つまりパトラッシュの事だけれども、場面場面にはもちろん登場しつつも、よく考えるとあまり関係ない存在ということに気が付いた。ネロにとってはとても大切な存在であることはわかるんだけど、どれぐらいインパクトがあるかといえば「でけぇ!」って事を除くとそれほど重要ではなかった気がする。特にラストのシーンではアロアのお父さん達の必死の捜索に手を貸してネロを助けるのかと思いきや、振り切って一人でネロの元まで駆けつける始末。飼い主を思うならちゃんと助けろよ。いや、マジで。


で、結局泣けるのか?というと、前述の通り私の場合は他の要素が強く出てしまったため、ダメだった。でもたぶんお約束的要素はたくさんあるので泣ける人もいると思う。そういえば、この映画は「ハッピーエンド版」もある。まぁ、どっちでもいいって言うのが心境だが、ぶっちゃけ「光り輝くお母さん」とかは演出的にあまり見たくなかったかな。「A.I.」*2の時にも感じたんだが、どうしてハリウッドの作品は、最後に余韻を残すような終わり方をしないんだろうか。いいじゃんか、想像の余地で終わっても。

*1:パトラッシュという名前で気付いても良さそうとか思うのは私だけだろうか

*2:A.I.:過去記事→id:kenbot3:20040827:p1