アヴァロン Avalon
最近はアニメばかり紹介していたので、久しぶりに普通の映画でも・・・と思ったんだが、頭の中が既にそっちの世界から返ってきていないみたいで、どうにもこうにも「これ」っていうのが思いつかない。で、しばらく悩んでいて「せっかくだからこれでも書いておくか」と思い出したのがこの作品。
押井守監督の「アニメではない実写映画」。ちょっと珍しい。
以下、ストーリー。
仮想戦闘ゲーム「Avalon」の世界でプレイヤー同士がパーティーを組み、様々なミッションをクリアすることで非合法に金と経験値を稼いで生活をしているゲーマーがいる、そんな近未来。かつて最強のパーティーの一員だった主人公の女性は、自分が原因でパーティーを全滅、リセットさせてしまったことをトラウマに感じながら生きていた。
しかし、かつての仲間から最難易度のレベルに登場する隠れキャラとも言えるゴーストを倒せば、スペシャルエリアに入れることを聞かされる。そして、そのエリアに入った当時のリーダーが仮想世界から戻って来れずにいることも知る。そのスペシャルエリアとは、一度入るとクリアするまで「リセットの許されない」究極のエリアだったのだ。
そしてある時、運命に導かれるように彼女はゴーストに遭遇してしまう。彼女はそのゴーストに挑んでいく。その後、彼女が見たものとは・・・。
って感じかなぁ?もうかなり前に見たのでうろ覚えです。でもまぁ、いいや。自分が見たこと、感じたことを書いておこう。あ、言うまでもなく案の定「ネタバレ」です。
さて、正直な感想としては面白かったんだが、心の声的にはいまいちだった。理由は自分で考えるに2つある。1つは「自分がネットワークゲームを楽しんでいないので実感がない」という所と「ラストが腑に落ちなかった」ことにある。
そもそもこの映画のテーマは何なんだろう。1つは「仮想世界」と「現実世界」との狭間に生きる人たちの葛藤の様なものだろう。仮想世界の戦闘シーンは戦闘の恐ろしさと共に、活躍できる場という華やかなる人生がそこにある。だが、現実世界では食べ物にも住む場所にも困る、日々の生活も満足に出来ないような人たちである。そういうギャップを表現したいのかな?とも感じた。
でも、前述の通り私はネットワークゲームをしたことがない。して見たいな〜と思うことはあるんだが、それが向いていないこともよく判っている。時間もなければ根気もないからである。もちろんゲームとしてはやったらハマるだろうな〜という感覚はあるんだが、結果的にやらないまま今に至っている。たぶん、今後もやらないんじゃないかと思う。
そんな私だからそう思っちゃったのかもしれないが、この映画はそういうゲームをやったことない人はまず置いてきぼりだよな?という感じがした。
そしてラストである。この映画は基本的にモノトーンというか暗い映像で表現されている。それはラストへの伏線であるんだが、結果的にラストで主人公の彼女が見たものは「現実社会」である。ゲームの世界に住んでいた彼女が最後に選んだ道とは「リセットの許されない世界」・・・つまり「現実」だという事なのだ。
という事は一応理解したつもりなんだが、映像的なインパクトが強すぎてメッセージがよく伝わらないという気がしなくもない。そもそも「じゃぁ、さっきまで彼女が生きていた世界はどういう事?っていうかどこ行っちゃったの?」という疑問が沸き起こってしまうので、私のその解釈で合ってるの?という気がして他ならない。*1
押井守監督があえて実写にした理由はラストにあるんだとは思う。この部分をアニメでやってしまうと余計わからないからだ。でも、それでも、そもそもの客層としてこの映画の主人公たちに入り込めるかどうか?という人は限られているような気がする。
何となくマトリックスと比較されそうな世界観だが、ストーリーとラストでのテーマは若干違うという事はなんとなく記録しておきたい。忘れないうちに。
*1:そもそも彼女達は現実世界の中で仮想世界に住んでおり、その中で仮想のゲームを楽しんでいた(つまり夢)という事なのか?とかそういう事なのか?とか。エンドレス。