みた、こと。きいた、こと。

合言葉はSite Seeing

ミセス・ダウト

ミセス・ダウト〈特別編〉 [DVD]
先日、「トッツィー*1を書いた時に、「あぁ。コレも書いておいた方がいいな〜」と思っていたのだが、なんとなく書き損ねていたので今日はコレを書くことにする。

「懐かしい音楽やゲーム」の事を「懐メロ」や「懐ゲー」と呼ぶのなら、この映画は「懐エー」と呼んじゃっていいかも知れない。この映画は正直に言えばそれぐらい「古臭い映画」である。といっても、公開は1993年らしいので決して古過ぎるという訳ではない。だが、この10年で映画の見せ方、作り方というのはかくも変わってしまったのか?と思うぐらい今では見られない懐かしさテイスト漂うコメディーだ。特に笑いのツボと、ソコまで持っていく為のテンポはじれったくてこっちが恥ずかしくなるぐらいの感覚だ。

自由奔放で明るい主人公は家族に対して愛情一杯に接していたのだが、仕事に執着せず、常軌を逸した行動をとるという破天荒な性格が災いし、ある日妻に愛想をつかされて「離婚宣言」されてしまう。だが、子供たちと一緒に暮らすことに人生の生きがいを感じていた彼は、親権争いにも敗れ、愛する子供たちとの触れ合う時間を奪われてしまう。

だが、一縷の望みはあった。裁判所が提示した猶予期間中に定職につき、きちんと生活できるようになることだ。でもそんなに長いこと子供と会わないなんて耐えられない。そこで彼は裁判所にバレルとかなりヤバイ大勝負に出た。家政婦として自分の家に雇われることにしたのだ。老女の姿に変装して・・・。


実はこの映画、かなり好きな映画だったりする。

思わず目をそらしたくなるほど恥ずかしい展開は、ほとほと困った物だが、それは間違いなくこの映画の味であり、そんな無茶をする人だからこそ愛想も付かされるワケだし、目的の為には手段を選ばない的発想は子供たちとのシンクロ率は間違いなく高いだろうから、子供が彼を好きなのがよく判る。

話の展開的に007的色男(ピアース・ブロスナン)を出す必要があったのか?という感じがしなくもないが、いないとコメディーとしては物足りなくはなっちゃうかもしれないし、「懐エー」なら普通入れるだろうな〜という感じで暖かく見守ってあげたいとすら思う。

変装自体は「マスクを被って全身着ぐるみ」という反則技に近いが、仕草はちゃんとそれっぽいし、声色に関してはめちゃくちゃすばらしい。ロビン・ウィリアムズの肉声で雰囲気を楽しんでいただきたいので、この映画だけはいくらコメディーとはいえ、吹き替えではなく字幕で見てもらいたいと本気で思う。

また、今まで出来なかった家事を必死に覚えていく彼の直向さは素直に感動できる物だし、ラストシーンにつながるスマートな構成である。こういうスマートさはむしろ今の映画に失われてしまった物なんじゃないかな〜と思ってみたりするワケで、家族の為なら悪い奴らは皆殺し!的なお仕着せ家族愛に比べれば、明らかに共感できる素敵なストーリーだと思う。


この映画のことを書いているうちに、なんとなく「摩天楼は薔薇色に」を思い出した。たぶん、着替えのシーンで連想したんだろう。という訳で、今度はこの映画を紹介しようと心に決めた。ちなみにコレも私の大好きな映画の1つ、である。

乞うご期待。って、誰が期待しているっていうんだ?って感じ。ま、いいか。

*1:トッツィー:過去記事→id:kenbot3:20050605