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NYPD15分署

NYPD15分署 [DVD]
という訳で、なんとなくHDDレコーダーの練習も兼ねて(そんなに見れるのか?ってぐらい)先週は映画をガンガン録ってみたんだが、その中のひとつにこの映画があった。とりあえず予備知識なしに見たんだけど、かなり面白かった。うん。

さまざまな人種が渦巻く世界都市NY。その一角にあるチャイニーズタウンを管轄とするNYPD15分署は、チャイニーズ系の人員3人の小さな部署だった。そこに新たに配属された白人の新人刑事ウォレスは、ベテラン刑事のチェンとコンビを組むことになる。「死ぬ前に去れ」と吐き捨てるチェンだったが、時間とともに近づいてゆく二人の男の友情。だが、その裏にはFBIやマフィアが絡むさまざまな陰謀が張り巡らされていたのだった。。。

って感じのストーリーは、コレだけ読めば「あぁ、ありがち?」って感じがする。タイトルを見て最初に思っていたのは「NYが舞台だし、ハリウッドお得意の警察万歳ドンパチ映画かな〜」という感じだったのだが、最後まで楽しむことが出来た。そしてこの映画を通じて感じられたのが「チャイニーズの泥臭さ」である。

いや、中国人が泥臭いという訳ではない。だが知略に長けたチャイニーズ・マフィアの戦い方が、自分の手を汚さずに周りだけを動かすというやり方がとてもイヤらしく、そして印象的に描かれている。もちろん本当のマフィアなど知らないので、勝手な想像の域を出ないが、この映画を見ながらよくニュースに上がる「密入国で一斉摘発される船団」という状況は、本当はマフィアが裏で手引きして居るのかもしれないな〜などと考えてしまった。そして、そんなコトも知らずに夢だけを信じ、なけなしの大金をはたいて密入国船に乗る人たちというのが、如何に無力な存在であるのかを考えさせられた。

アクションシーンも結構派手に登場するが、それはむしろステーキにかけるソースのような物で、味付けにしか過ぎない。結局は素材としての肉が良質の物であるかどうか?という所なんだと思うが、私としては結構いいじゃんと率直に感じた。


主人公のベテラン刑事を演じているのがチョウ・ユンファ*1だが、全体を通して表情が結構豊かであることがよく判った。この映画ではとても魅力的な男性を演じている。とても軽い男のように見えるが、実は一途な所とかはかなりいい感じだ。

また、この映画は殆どチャイニーズ・タウンを舞台に繰り広げられるお話なので、映像全体が中国っぽいテイストで表現されている。場面毎に漢字が溢れかえって映っており、アメリカらしい所は殆ど見られない。スラム街のイメージもちょっと違う感じだし、この辺りのギャップもまたこの映画の味になっているのかもしれない。*2


なお、全体的なストーリーは最初に述べたとおり、やはり刑事モノの定番ともいえる「男同士の友情」というシチュエーションだし、シナリオも基本的に予想の範囲を出ない無理のない作りだ。だから最後にどんでん返しがあるとか目が離せない!という感じではないのだが、最後まで弛みなく楽しむことが出来たのは、そのチャイニーズっぽいテイストの中で繰り広げられる混沌としたアメリカの秩序が、不思議なリアリティーをもって語られていたからかもしれない。

*1:アンナと王様」に出ているそうだが、実は未見。凄く見たくなってきた。

*2:どうもチャイニーズ系を意識すると「ジャッキー・チェン」の映画のイメージが強いのも影響あるかもしれない。