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スライディング・ドア

スライディング・ドア [DVD]
人は生きているうちに何度、「あぁ、もしもあの時に戻れたら!」と、思うことだろう。そして「もしも違う選択をしていたら・・・」と考えてしまうものなのだろう。

人生は一度きりだから面白いという。でも、一度きりだから幸せとは限らない。そして、その選択が正しかったのだろうか?違う選択をしていたら?と、出来もしない「もしもの妄想」にいろいろ想いを馳せるものだ。

これも、だいぶ前に見た作品だが、そんな感じで今でも、忘れられない作品の一つ。この映画の一番の特徴は、「主人公の一人だが、時間が2つ同時に流れる」という事だ。

ある女性が会社で突然の解雇を受ける。いつもならもっと遅い時間に変えるはずだった彼女は、行く宛てもなく家に帰ることにする。だが、乗ろうと思った地下鉄のドアが一人の女性の運命を2つに分ける。電車に乗れた自分と、電車に乗り遅れた自分。たったそれだけのことなのに、一人の女性の運命が全く異なるものへと変化していく・・・。

って感じ。とにかくすごいと思ったのは「判りやすい」という事。普通、こういう時系列が入り乱れる(特に出てくる登場人物が同じで、時間はパラレルに同時進行する)ケースでは、見ている方がだんだんと混乱してくる事が多いのに、この映画の場合はそんな混乱は殆ど起きない。不思議なほど、だ。

まず、主人公の女性が「髪をバッサリと切っている」点も評価したい。コレによりロングヘアーとショートカットに別れ、見ている方がどちらの主人公の時間が流れているのかを直感的にわかる事が出来る。だが、撮影する方は大変だったんじゃないだろうかと本気で思ったりもする。たいしたものだ。

そして、ストーリーは最後までハラハラ・ドキドキ感を持たせてくれている。普通の映画なら1つのストーリーで盛り上がる場所やシーンが限られてきてしまうので、大抵はダラダラとした時間が必ずどこかに出来てしまう。だが、この映画の場合は2人のパターンが同時進行するので、盛り上がるポイントがそれぞれ別々に用意されているため、時間の経過に飽きることなく集中してみる事が出来るのだ。この点もとても面白かった。ラストシーンまで、どちらがハッピーな人生なのか、判らない。


最後まで見終わって、ここまで良く出来ている!と思った作品はそうはないと思った。機会があったら、もう一度見てみたい。いや、見ない方がいいのか?見る?見ない?それで私の人生も変わっちゃう?