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一瞬の風になれ (3)

一瞬の風になれ 第三部 -ドン-
前に書いた本*1 *2の『第三部』。これは主に3年目のお話。3巻目は前2巻より分厚くて、読むのに時間が掛かりました。

で、お話。

すっかりスプリンターとして成長した主人公、周りの人たちのさらなる刺激を受けながら自分の走り方を掴み始め、一歩一歩、一段一段成長していく。そして、高校最後の年。自分が、いや自分達がどこまで戦えるのか、今までやってきたことをかみ締めながら県大会、関東大会へと挑んでいく。いつまでも「走っていたい」という気持ちを感じて・・・。

って感じ。あぁ、なんて判りやすい。いえ、褒めてます。ちょっと感動。

最初の頃はやたらと淡白だった試合の様子も、主人公が選手として成長していくに従って、どんどんその表現も描写も細かくなっていく。この辺りの書き方は読んでいて実感しやすく、試合の度に描写が変わるので新鮮味を感じる。「走る」という単純なスポーツの描写は、繰り返し描写されても面白みが無くなっていくだけだろうから。

それにしても2巻の展開でなんだか恋愛の方に進んじゃうのかな〜?って危惧していたんだけど、最後まで通して「スポ根モノ」だった。まぁ、根性は少なめだけど、主人公が寄り道するのはあくまでも選手としての成長の過程だけであり、愛だの恋だので無駄に右往左往するような事は無かった。ある意味で、今どき珍しいと思う。でも、だからこそ変に振り回されないので素直に楽しめた気がする。

あと、主人公のお兄さんの話も2巻を最後に殆ど出てこなくなるのも興味深い。自分の目標だった「兄」という存在を、いつの間にか意識しなくなり、目標が違う対象へと切り替わっていった証だが、そこに不自然さを感じさせない。この2年間の少年から青年になっていく成長ぶりを実感させる。


買った時も、読み始めた時も、それほど期待していなかったんだけど、久しぶりに読んだ本としては最後まで弛みも無く読めた。ドラマにしても面白そうだと思う。試合のシーンが難しいか。わざとらしくなっちゃいそうで。

*1:一瞬の風になれ (1):過去記事→id:kenbot3:20070315:1173931071

*2:一瞬の風になれ (2):過去記事→id:kenbot3:20070319:1174269903