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タイトルの付け方

こんなタイトルのニュースがあった。

日本のWeb利用者の年齢構成、6年間で20歳代の比率が半減

 ネットレイティングスの萩原雅之代表取締社長役兼チーフアナリストは、この傾向について、若い世代で先行していたWeb利用が着実に中高年齢層に普及したと説明している。また、20歳代の比率が減少した理由について、Web利用が全世代にわたって一般化したことによるものだと説明しているほか、携帯電話による利用増も要因と考えられるとしている。

タイトルだけを見ると、『20代のネット離れはそれほど深刻なのか?』と思ってしまわないだろうか。このニュースが伝えたい内容は本当に『ソレ』なのだろうか。

だが、記事をよく読むと『ネット利用者全体を100%とした場合の年齢構成比率』となっている。つまり、どこかが伸びればどこかが下がるというワケで、本当に『半減』なのかを自分なりに調べてみることにした。

利用者数 増減率
平成12年(2000年)  3,723万人  0%
平成13年(2001年)  4,890万人  +31%
平成14年(2002年)  5,722万人  +54%
平成15年(2003年)  6,164万人  +66%
平成16年(2004年)  6,416万人  +72%
平成17年(2005年)  6,601万人  +77%

上記全て、「パソコンからの利用者数」の年末時点。
増減率は、基準年(2000年)の数値に対する増減割合

この数値を見る限り、基本的に増加傾向であることは間違いない。
さて、資料の出所および集計の基準月が違うので、この2つを使って計算するのは本来変な話なのだが、参考程度に「2000年」と「2005年」の2つで「20代の利用者数」を試算してみることにする。

20代の利用者数比較
利用者総数 20代構成比 20代利用者数 増減率
平成12年
(2000年)
 3,723万人  23.6%  879万人  0%
平成17年
(2005年)
 6,601万人  11.9%  786万人  -11%

なるほど。確かに減少している様に見える。だが、タイトルとして『半減』と使う程ではないのではないだろうか。そして、本当に携帯電話での利用が進んだことが原因なんだろうか。

ついでに日本の人口の変化も調べてみた。

総人口(全国) 内20代 増減率
平成12年(2000年)  12,693万人  1,821万人   0%
平成13年(2001年)  12,729万人  1,791万人  -2%
平成14年(2002年)  12,744万人  1,744万人  -4%
平成15年(2003年)  12,762万人  1,697万人  -7%
平成16年(2004年)  12,769万人  1,648万人  -10%
平成17年(2005年)  12,777万人  1,563万人  -14%

上記全て、10月1日現在人口(年報)より抜粋

実は、20代の人口はこの5年で14%も減っているのだ。5年も経過すれば、以前の利用者の半分は次の年代に移動しているだろう。既に利用率がほぼ95%を超えているこの時代において、人口の増減や時間経過による推移はそのまま結果に反映する。本来の原因はここにあるとは考えられないだろうか。いや、結論として『携帯電話の利用が増えたので構成が半減した』は言い過ぎではないだろうか。


もちろん、全体的に利用者の傾向は世代別に変化しているだろう。特に20代の変化は他の世代と違って顕著であるという点では、この指摘が間違っているワケではない。だが、相手に正しく伝える言葉を使う必要があるのではないだろうか。*1

*1:それとも、私だけが勘違いしてこんなに調べちゃったのかもしれないけど。