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メジャー・リーグ

メジャーリーグ [DVD]
多分、もう何回みたか判んないぐらいは見ていると思うこの映画。「メジャーリーグ」。シリーズとして3ぐらいまで出ていたと思うので、結構知っている人も多いと思う。
という訳で、あまりネタにするような映画じゃないんだけど、別にマイナーな映画ばかりをネタにしたい訳じゃないんで、ちゃんと書いておこうと思う。
エンターテイメント的な映画としてみた場合には面白いし、個人的には好きな方の部類には入るんだけど、今回書くのは好きな所と言うより、「男の映画」として考えた場合の演出について。

あ、もちろんネタバレ。いろんな意味で。

ストーリーは簡単に言うと、

成績不振の1チームが、寄せ集めのチームメイトでスタートするが、優勝しない限りは自分達が解雇されることに気付き、その逆境をバネにチーム一丸となってリーグ優勝を目指す。

という、とても判りやすいと言うか、王道的なお話し。
この映画、いわゆる「スポ根」として考えることも出来るんだが、古典的な意味合いでの日本人的スポ根と違うのは、「根性の部分は少なめ」である所だ。欧米的スポ根というべきか。

個人の根性の代わりに前面に押し出されてくるのが「友情」の部分である。


だが、その前にちょっと視点を変えてみる。この映画における「男女描写差」だ。

この映画、メジャーリーグという野球をテーマに扱っている。という点では「男の映画」とも言える。エンターテイメントとしては女性が見ても勿論面白いんだけれど、出てくる女性はちょっとアレな人ばかりである。ストーリーに関係する女性は3人出てくるんだけど、

  1. もっといい条件の場所に移転しようとたくらみ、無名のチームメンバーをわざわざ集め、チームをリーグ最下位にしようとする女性オーナー
  2. 主人公のキャッチャーの元恋人で、弁護士の婚約者もいるけど、主人公が活躍すると元鞘に戻ろうとする女性(男性もそれを望んでるけど)
  3. 豪腕・速球で人気者となった若手新人ピッチャーに色気で近付き、関係をもってしまうチームメートの奥さん(しかも、自分から旦那にそれをバラす)

って感じ。まぁ、誇張して書いていますけれども、なんとも極端なキャラクター設定。ハッピーエンド的には、2番目の人も大事なんだけど、安直だよな〜というのが本音の感想。

しかし、これは「男の映画」としてまとめ、スポ根の「友情」を語る上で、ある意味必要な設定だったのだと思われる。



まず、1人目の女性オーナーの話。
彼女は、この映画の中では完全に「悪役」として描かれている。横暴で我侭な彼女に一泡吹かせるために、寄せ集めのチームメートが一致団結して、勝利に向かって邁進していく。彼女への憎悪が「友情」となり結束を高めていった、と言える。
そういう意味では、ヒール役を演じながら最後に優勝させるたワケだから、「勝利の女神」的な演出も出来たハズなんだけど、本作品に関してはあからさまに違うので、それはちょっと考えすぎ。

次に、一人飛ばして3人目の奥さんの話。
「セクシーな男性に惹かれた」って事で、ルーキーを誘惑。関係を持った後で、自分の事を話し、それだけでなく自分の夫にその事を「大事な話しがあるの」とか言ってバラす。しかも、優勝が掛かったその日の朝、に。
それを知ったルーキーは当然先輩に対して罪悪感を抱き、大事な試合であわやチーム崩壊の危機?だったが、先輩は自分の感情を押し殺し、「三振に仕留めろよ」とマウンドに立つルーキーを鼓舞して落ち着かせ、結果としてチームを優勝に導く。
これは、「友情」は「男女の愛」よりも優先されるという一種の男性的視点の傾向(偏向?)を表しているとも取れる。「目的遂行の為には一時の感情は抑えなければならない」というか、なんと言うか。


この2人についてはもう、必要悪だったんじゃないか?と思うぐらい、「男の映画」を狙っている。大変判りやすい。

つまり、この映画はそういう映画である。


最後、蛇足だが2人目の元恋人の話も書いておく。
子供っぽく、短絡的な部分がある主人公から離れ、「大人っぽい人生を送りたい」と、弁護士(だったかな?)の婚約者を作った彼女。「貴方なんてなんとも思ってないの」とか言いながら、ハリウッド的ラブシーン(1時間目)のお約束で一夜を共にし、「秋には結婚する」と言っておきながら、ラストのシーンでは婚約を破棄している。


正直言って、この演出は「男の妄想だよな〜」と思う。かなりご都合主義的*1だ。良い解釈をすれば「情熱を燃やす男性に女性は弱い」だが、悪い解釈をすれば「よりお金を稼ぎそうな男性に女性は弱い」だ。何その移り身の早さ!みたいな。

その辺を考えても、やっぱりこれは「男の映画」だなぁ、って思うわけで。長々と書いたけど、そんな感じ。

*1:ご都合主義的といえば、この女性は「一人暮らし」をしているにも関わらず、帰宅時に玄関のドアに鍵をかけず、主人公の男性の侵入を許している。その後、ラブシーンに突入するわけだが、これはもう「実は追いかけてくる事を判ってて誘ってたんじゃん?」とも考えられる。