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ハンテッド

ハンテッド [DVD]
公開当時、実は映画館で見たい映画だった。内容の地味さに魅かれたのだ。

ストーリーはこれまた単純。戦争体験のトラウマから殺人鬼へと変貌してしまった特殊部隊所属の「ハラム(ベニチオ・デル・トロ)」を、そのサバイバル能力が故に捉えることの出来ないFBI。そこで彼を育て上げた男、「L.T.(トミー・リー・ジョーンズ)」に協力を求めるのだった。足跡や小枝の折れ具合など、わずかな手掛かりから犯人を追い、銃器を使わぬナイフでの死闘。師弟の命を懸けた戦いが、今始まったのだった。。。

といった感じ。ハッキリ言いましょう。めちゃくちゃ「泥臭い」、というより「男臭い」映画です。もう、オヤジ臭ムンムン。女性もFBIに出てくるけど、ハッキリ言ってそんなことは関係なし。基本的には、男2人の追いかけっこって感じですので、やたらと地味だし、戦い方も特殊部隊な人たちなので普通じゃない。カンフーの様な派手さもなければ、CGやワイヤーを使った様なクールさもない。むしろ、「致命傷さえ受けなければ勝てる」的な淡々とした戦い方がなんとも迫力がある。

時間が短かったのはある意味よかった。あと30分あったら、ちょっと疲れたかもしれない。個人的には楽しめた作品、です。


もうちょっと書きたい事があるので、ここから先はネタバレってことで。

個人的な視点から面白いな〜と感じたのは、ハラムは殺人鬼へと変貌したが、無差別殺人を行なっている訳ではないところ。戦場で極度の緊張感に強いられたことにより変わってしまった、という設定だ。

それ自身は決して珍しい設定ではないんだけど、最初にハラムが何を経験したのかをかなりの時間を割いて見せてくれる。そこで思うことは「戦争を終わらせるために、特殊部隊の人を育てることは必要だ」という事と、「戦争により心に傷を負う兵士達の悲劇」だ。結局、「戦争が殺人鬼を作り出した。悪いのは戦争だ」と、ハラムを完全な悪者にはしていないところだ。

ハラム自身の行動にもそのメッセージは込められている。恋人と、その子供への接し方は普通だし、街中であたり構わずナイフを振るう訳ではない。ただし、そうなると「森の中でハンターを逆ハントをしていた」という動機の部分がちょっと弱くなるような気がするんですが。

ストーリー上で気になったのはFBIの位置付けについて。これはかなり中途半端。全然、役に立っていない。折角捕まえても軍隊に渡しちゃったり(そういうものなの?)、銃を持って追いかけているんだけど、なんだか組織だっていないので散発的な攻撃にしかなっていないし、むしろ無計画な捕獲作戦が市民を巻き込んでいる気がしなくもない。


ま、この映画は90分と短めだし、サバイバル・ゲームを楽しむつもりで見ると、結構面白いと思う。ドッキリ!ビックリ!な恐怖シーンはないんですが、「PG−12」指定にはなっています。