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不都合な真実

不都合な真実 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]
気晴らしに映画の話題でも書いてみる。何年か前にやたらと話題になったこの映画について。

地球環境の問題を正面から取り上げたドキュメンタリータッチの映画という点で、かなり注目され、地球温暖化を啓蒙する話としてメディアに多く取り上げられた。

そういう意味では、ある程度「地球温暖化」に興味を持っている人には、たぶん目新しい話はない。逆に言えば、あくまでも現状を報告しているドキュメンタリーのため、5年後や10年後に繰り返して何度でも見たくなる映画か?という点でも違うような気がすると思う。テーマとしては。

でも、私は個人的に違う視点でこの映画を面白いと感じた。プレゼンの手法として。

プレゼンテーション。最近、私的に興味があるジャンルの話題。

この作品の面白さは、テーマそのものよりも「ゴア氏のプレゼン」である事は間違いない。ぶっちゃけて言えば、こんな感じのプレゼンなら、どんなテーマでも面白く聞けるんじゃないかな?ってぐらい、魅力的な演出をする。

映画の中でも語られているが、実に1000回を超える講演を行ってきた中で、どうやったら講演を見に来てくれた人に興味を持ってもらえるのか、正しく伝えられるのかをゴア氏本人が日々模索しつつ辿り着いた結果として、映画の中で使われているプレゼンのシーンである。もちろん、映画の構成そのものもプレゼンの技法の1つとも言えるだろう。

さすがに自分がお客様向けにやるプレゼンで「クレーンを使った演出」なんかは無理だろうが、それでもそのポイントに至るまでの過程の説明や映像やアニメーションをうまく駆使した演出は、やはり欧米的で参考になる。繰り返し行ってきた講演の経験の妙だろう。見事だ。


その中でも一番上手いな〜と思ったのは、(私は字幕で見たんだが)やっぱり「話の内容と構成」だ。特に、映画の中で使われた逸話として、アフリカとアメリカは昔くっついていた!とする「大陸移動説」を唱えた同級生と、それを否定した学校の先生(当時はまだ証明されていなかった)の話をするが、この一見地球温暖化とは無関係にも見える話が後の方になって意味を持ってくる展開は、ある意味芸術的だ。

環境問題、特に地球温暖化に付いて啓蒙する環境ドキュメンタリー映画ではあるが、ドキュメンタリーであるからこそ、構成の妙を楽しめる映画だと言える。一度見た人、環境問題に興味が無い人でも、そういう視点で見ると、この映画は結構エンターテイメントしているのが判るんじゃないか?と思う。

少なくとも、私はゴア氏のプレゼンをとても楽しめた。

映画として編集されているんだろうけれども。それはそれとして。