風の谷のナウシカ
もはや、ストーリーとかを語るのもおこがましいほど有名な作品。やはり、ジブリ作品を語るにはまずこの作品から始めなくてどうする!的な作品。
とはいえ、正確に言えばジブリではなくて、その前身である「トップクラフト」の製作。1984年。
って、24年も前かよ!と、思わず自分に突っ込みをいれずにはいられない程前の映画。CGを使わず、セルアニメーションとしての最高傑作であることは間違いない。王蟲の節目や何十本とある足の動きなんてもう、眩暈がするほどの精巧さだ。今考えてもありえないレベル。むしろ、今CGで作り直したら逆にリアリティーが無くなっちゃうんじゃなかろうか?という気がする不思議な感覚。これぞ職人芸。
以下、ネタバレは無いけど映画の感想というよりかなり的外れな分析的長文。
そんなに経っているにも、これだけ有名であるにもかかわらず、実は私は回数的にそれほど多くは見ていない。たぶんこの10年くらいは見ていない気がする。理由はなんとなくハッキリしていて、私は世代的に原作のマンガ版寄りだかららしい。映画としてあそこで終わってしまったのが消化不良気味に思えるからである。
もちろん、映画としてみればかなり好きであることは間違いない。じっくりと練られた構成と展開。序盤の空を飛んでいる時の飛翔感は最高だし、風の谷がトルメキアに襲われる時の緊張感とスピード感、その後の腐海の神秘的な姿。そこからラストまで続く衝撃的で怒涛の展開は、独自の完成された世界感だからこそ出来たものだと思う。今でもシーンの一つ一つ、ストーリーをかなり明確に思い出すことが出来る。
本作の主人公「ナウシカ」は、もののけ姫の主人公「サン」と被る部分があるからか、合わせて評価されることがあるが、「強さ」という点ではナウシカに敵うキャラクターは他に誰もいないんじゃないか?と、思っている。
それは、世界最強と言われた剣士「ユパ」から教わった戦う時の力の強さであり、小国ではあるが国を治める立場である皇族としての精神の強さであり、人々が恐れる腐海や蟲達を理解しようとする研究者としての意思の強さであり、全ての生き物を愛おしく想い守ろうとする母性の強さ全てを兼ね備えているからである。
ジブリ作品というか、宮崎駿監督の作品には必ず「強い女性」が(数多く)登場し、その強さは「力としての強さ」である場合もあれば、「意思、精神としての強さ」で表されされることもある。だが、このナウシカ以降に登場する「強い女性」達は、ナウシカが持っているこれらの強さのいずれかが足りなく、物足りなさすら感じる。
例えばラピュタの「シータ」には「力の強さ」*1が足りないし、魔女の宅急便の「キキ」には「精神の強さ」*2が足りないし、もののけ姫の「サン」には「意志の強さ」*3が足りないし、ハウルの動く城の「ソフィー」には「母性の強さ」*4が足りないと思う。
そういう意味で完璧な主人公である「ナウシカ」だが、同じく完璧っぽいもののけ姫の「アシタカ」と比べて嫌味がないのは、この作品としての完成度の高さ故なんじゃないかと思っている。怒りに任せて兵士を一突き!なんてことはアシタカはしないもんね。無表情に倒すけど。
そんなワケで、長々となったけど、ホントにいい作品だと思う。もちろん、原作もね!