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みた、こと。きいた、こと。

合言葉はSite Seeing

映画の中のパスワード。

映画やドラマで描かれる時代は様々だが、現代や未来モノの作品で、『パスワードの判らないコンピュータ』がストーリーの鍵を握っている作品はかなりの数に上っている。
しかし、その殆どの作品は、誰も判らないハズのパスワードを何らかの方法で手に入れ、そこから得られた重要な情報から、ストーリーが急展開を見せるというパターンになっている。
特に重要人物が殺されちゃうパターンのサスペンス的なモノに多いが、そもそも大事で秘密のパスワードは、如何にして破られているんだろうか。
その傾向を考えてみたい。

パスワードがわからないパターン

コンピュータのパスワードがわからないというシチュエーションは、大きく分けて3種類ある。

  1. ビッグビジネス (ハイテク強盗やスパイ活動など)
  2. サスペンス   (犯罪捜査やレスキュー活動など)
  3. ヒューマンドラマ(真実の愛を知る)

たぶん、こんな感じ。

ただし、この中で1番目のパターンについては言及しない。というのも、もうコンピュータのプロフェッショナルな人たちが一般人じゃ理解できない「すごい方法」(ハッキングとか)で、判らないハズのパスワードを探し当てて「こんなの楽しょうよ(はぁと)」みたいな感じで入り込んじゃうんだから。

では、2番目のパターンと3番目のパターンについて考える。

犯罪捜査のパスワード発見術

私がいつも「ありえない〜」と思うのは2番目のパターンだ。例えばのストーリー例を挙げてみる。

ある事件の重要な鍵を握る人物が殺された。長年事件の捜査を行っていたベテランの警察官は、事件解決まであと一歩まで追い詰めていたのだが、その希望もむなしく崩れ去った。
被害者の自宅に行くと、デスクには無造作にパソコンが置かれている。起動すると、何やら不思議なダイアログが表示され、思いつくままのIDとパスワードを入力すると、そこには事件の真実を握る情報が残されていたのだった!

みたいな。あるある、そういうの。そんな感じ。
でもね?なんでそんな簡単に情報が見つかるの?と。まず、「思いつくまま」っていうパターンは結構多い。被害者が生前好きだった女優やブランデーの名前だったり、好きなメジャーリーグやNFL、NBAなどのチームが優勝した年だとか、そういうの、安易過ぎない?って。つーか、そんなの犯罪集団だって試したりそもそもパソコンを壊してたりするだろう?
今や、会社のイントラだって3回パスワードを間違えるとロックアウトされて再発行されるまで交通費精算が出来ないようなセキュリティー万歳!な時代なのに、もっと重要な情報(たとえば裏帳簿とか、犯罪関係者リストとか)が思い付く限りの入力で簡単に見れるワケないんじゃないの?と。
あと、比較的良くあるパターンで、「本棚においてあった本の中から下線などで単語に目印が書いてある」とかそういうの。あれも、「秘密のパスワードを目立つように書く?っていうか、その本が何で直ぐに見つかるんだよ!」と。安易過ぎだろう、パスワードに辿り着くまでのプロセスが、と。

ま、映画なんだからご都合的なストーリーでもいいんだけど。

そういえば、「壁に貼ってあったポスターに写っていた数十年前の女優のBWHがパスワード」なんてのもあった。んなの判るか!

ヒューマンドラマのパスワード発見術

3番目は、私的には好きなパターンだ。例えばのストーリー例を挙げてみる。

ある日、突然。最愛の人が交通事故で亡くなった。目の前が真っ暗になり、自分の生きる希望もなくした。
葬式も終わり、何も手に付かないまま数日が経った。部屋の片付けをしていると、最愛の人が使っていたパソコンが目に止まる。絶対に触らせてくれなかったパソコン。仕事で何日も部屋に閉じこもっていた日もある。
嫉妬の様な憎い気持ちを感じながら駆け寄り、深く考えずに電源を入れた。だが、画面には無常にもパスワード画面が表示され、なにも操作が出来ない。判らない・・・、判らない。
諦めようとした瞬間いつも言っていた口癖を思い出した。その言葉を恐る恐る入れてみる。すると、パソコンの中には自分の笑顔の写真があった。そして、想い出がたくさん詰まっていた。仕事の書類ばかりでなく・・・。

みたいな。なんとなく判って欲しいそんな感じ。
これについてはもう、安易でも何でもいいと思う。映画の中で語られない運命的な繋がりみたいなものを感じさせてくれるわけだし。演出がうまい映画の場合、伏線の張り方を工夫するので、パスワード発見までのプロセスが意外とすんなりと納得できるものだったりすることもある。

ただ、この手の映画もインターネット全盛期の現代社会。今後はどうなんだろう?と思っている。

インターネット時代のパスワード発見術?

誰に断るでもなく言い切るが、現代社会は「インターネット時代」である。
いつの間にかパソコンは個人の情報を記録するツールから、個人の情報をネット上で管理するためのデバイスの1つになっている。完全にネットワークでの作業を前提にした「ネットワーク・コンピュータ」と呼べるようなものも普通に使われだしてきている。つまり、これはパソコンの中にある重要な情報を発見するのは今まで以上に困難になってきている、という事だ。

2番目のケースは犯罪の記録なので、「インターネット上においてありますぅ」なんて馬鹿なことはしないだろう。むしろ、いかにネットワークから隔離するかの方が問題で、そうなると必然的に重要な情報へのアクセスは最短距離になり、だからこそ入り口になるログイン・パスワードの重要性は高いものであるハズ。なので、このパターンの映画については今後も同じじゃないかと思う。

だが、ヒューマンドラマなどのパターンの場合、個人のパソコンだと思っていても、個人の情報は(その人の意思によって)世界中のサーバーにばら撒かれて管理されている。個人の情報を他人が得る為には、目の前にあるパソコンの中だけでなく、どんなサービスを使っていたのかを探し出すところからスタートしなければならない。


パソコンを起動するためのパスワードを発見する所までは「運命的な偶然」でもいいだろう。だが、「点在する各サーバの(それぞれに異なる)パスワード」を発見するのは、無理があるし、それ以前にくどすぎてあまり美しくない。*1 こうなるともう、ロマンチックにパスワードを発見するというのはもう無理なんじゃなかろうか。まぁ、OpenIDなんてサービスも始まってきてはいるが、どこのサービスを使っていたかから始めなくてはならない所はやっぱり同じだと思う。


パソコンはパーソナルでは無くなっていく。映画やドラマでリアルなお話を作ろうとすればするほど、ロマンティックな部分から遠ざかっていく。今は、そんな難儀な時代かも知れない。

*1:セキュリティーの観点から、全てのサーバのパスワードを変える必要がある・・・と言うのは残念ながら常識だ。ただ、やってらんねぇ、って言うのは正直な気持ちなんだが。