みた、こと。きいた、こと。

合言葉はSite Seeing

U-571

U-571 [Blu-ray]
「潜水艦が活躍する映画って知ってる?」
と質問されたら、たぶんかなりの人が「うん、知ってる。」と答えるとしても、そもそも潜水艦の映画って、古くは「眼下の敵」から「レッドオクトーバーを追え」「クリムゾン・タイド*1 など、古くから沢山作られているので人によって答えるタイトルは違ってくるんじゃないだろうか。

とはいえ、共通している事は「男クサイ」って所だ。命と引き換えに戦う男の汗の物語。

・・・なんか誤解されそうな書き方ですが、夜中にTVでやってたので書いてみる。

あぁ、言うまでもないですがネタバレです。

ストーリーを簡単に書くと、

故障により海上で救援を待っていたドイツ軍の潜水艦「U-571」に、その通信を傍受したアメリカは、「ドイツ軍の暗号機エニグマ」を奪取する作戦のため、偽装した潜水艦で近付いた。潜水艦の占拠に成功し、作戦は無事に終了したかに見えたが、同じく救援に現れたドイツの潜水艦によりアメリカの潜水艦は撃沈される。敵艦内に残されたアメリカ兵は、作戦を成功させ、自分達が生き残るために慣れない「U-571」でドイツ軍に立ち向かっていくのだった。

って感じ。実際にあったお話しをベースにしているらしい。詳しくは知らないけど。

エキサイティングであるという点と、CGを使った迫力のある戦闘シーンという意味で、とても面白い映画であると言える。しかし、そのストーリーや内容については、ハリウッド映画的ご都合主義な展開が鼻についてしまう。

ちょっとその辺りを書いてみようと思う。

急すぎる展開
ハリウッド映画にはよくあるパターンだから否定することではないんだけれども、U-571を占拠した後、自分達の潜水艦は探知されること無く敵潜水艦に撃沈される。コレについては、ドイツ軍の潜水艦が交信しようとしたのに相手が出ない(占拠中)ことから、ひそかに近付いたと考えられるので、無茶苦茶だとは言わないが、その直後に「全員、(占拠したばかりの敵)潜水艦に乗り込め!」で戦っちゃう様は、ある意味超展開である。
故障しているはずのU-571で激闘!
救援を待っていた程のダメージを被っているハズのU-571で、ドイツ軍の潜水艦や駆逐艦と普通に戦っちゃうところがちょっとありえない。映画内で「ドイツ軍は素人ばかりで直せなかった」「ボクは直ぐ直せます」見たいな発言をしているところも、ちょっとご都合主義を感じる。
限界深度を超えて
戦闘中に敵を欺くために限界までもぐるって言うシーンは、潜水艦映画のお約束ともいえる。限界深度近くまで行った時、クルーの一人が「丈夫な船だ。ドイツ人は船の作り方が判ってやがる」みたいな事を言う。しかし、その発言をした直後にあちこちでパイプが破裂!浸水が始まってしまう。演出的には良くあるものなんだけど、だからこそ「あぁ、やっぱり」的な感じで緊張感を感じられなかったのも事実。それならあのセリフはいらなかったと思います。その直前には「ドイツ人は素人だ」とか言い放ってたのに。
やたらと丈夫な潜水艦
上の続きみたいな話だけど、とにかくこのU-571は丈夫過ぎる。いや、運が良過ぎると言うべきかな?潜水艦同士の戦いはともかく、洋上の駆逐艦との戦いにおいて、水中機雷をあれだけ受けてもビクともしないって言うのはなんていうか、どうなのよ。そもそもエンジンが故障していて速度も出ない大変不利な状況で、互角以上に戦っちゃうところがちょっとありえなくね?的ななんていうか。そういう意味では心理戦を演出していた「眼下の敵」はやっぱりスゴイです。
魚雷でファイト!一発!
ラストのシーン。当時の魚雷はホーミング(自動追尾)などは無いので、進路を予測してから打つ関係で潜水艦同士の戦いでは当たらない方が多いけど、駆逐艦との激戦のシーンで発射出来るか判らない艦尾の魚雷にギリギリまで固執して戦ったのはどうなんだろうな〜という気がする。その発射準備の為に若者が一人犠牲になっているわけだし。「一生ついて行きます!」的な発言もあったけど、それもちょっとアメリカが好きな戦争バンザイ的な演出だな?と思ってみたり。

どうでもいい事かもしれないけど、かなり気合を入れて作ってあるドイツ軍の最高機密とも言われた自動暗号機「エニグマ」についての解説が「タイプライター」で終わっているところがちょっと淋しい。
ま、それは「ディスカバリー・チャンネル」とかのドキュメンタリー番組で見ればいいのか。

*1:クリムゾン・タイド:過去記事⇒id:kenbot3:20060416:p1