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トロイ

トロイ 特別版 〈2枚組〉 [DVD]
ストーリーをあえて多く語る必要なんて無いような「トロイの木馬」を題材とした映画。

決して、GTOに出てきた「野村朋子(通称:トロ子)」が主人公の映画、

ちょっと鈍い女の子のハートフルラブコメディー

〜 あの娘、ちょっとトロイからムカツクのよね 〜

ではない。って、そんな勘違いするような奴はいない。っていうか、そんな映画なんてない。

こういう書き出しで映画の話を書くときは、たいてい映画の本質じゃない部分でグダグダと書く事が多いんだけど、実際問題としてこの映画については「気に入った点」と「気になった点」が入り混じっていて、楽しんだ反面、素直に楽しめなかった部分もある。

楽しんだ部分について言えば、やっぱりその映画としてのスケールの大きさだろうか。CGも駆使しているんだろうが、大勢のエキストラによる大規模戦闘のシーンはなかなかに迫力がある。主人公のブラッド・ピットの引き締まった肉体はもう女性が映画館で見たらそりゃ卒倒しちゃいそうなぐらい「これでもか!」と見せ付けてくれる。まぁ、「ファイト・クラブ*1でクラクラした人は見た方がいいと思う。

で、気になった点を書いていくと長くなりそうなんだけど、折角の機会なので一気に書いておく。

立場を考えない一目惚れ駆け落ち
長年戦争してきた2つの国が、代表の勇者二人(うち、一人はブラピ)の一騎打ちで和平へと向かう。その祝賀会場でトロイの王子(オーランド・ブルーム)とスパルタの王妃が恋に落ちて、そのままトロイに駆け落ちしてしまう。あまりにも唐突。あまりにも無謀。若気の至りとか愛の情熱だとかいろいろ言葉はあるんだろうけど、なんかこういう「勢いでやっちゃいました!」みたいな展開はあんまり好きじゃない。というか、ここに「ラブ・ロマンス」みたいなものを期待してうっとりしながら見ている人がいるんだとしたら、それはちょっとごめんなさいって気分だ。結局、これが元で「和平した直後に戦争が始まる」んだから。
ジャンプしてグサッ。
主人公「アキレス」の必殺技らしい。相手の目の前で横っ飛びして首をグサッと。最初の1回ぐらいは「ほぉぉ」と思うけれども、何度かそれを見てしまうと「うわ、ワンパターン!」とか思ってしまった。必殺技を使わないで普通に戦っていたほうがむしろかっこよく見えたのが不思議だった。
気の強い女性ばっか
ハリウッド映画の最近の特徴として、基本的に「気が強くて男勝りな女性」ばかりがヒロインになるケースが多い。これも時代の流れなのかもしれないが、映画の前提である「時代」を考察した時に、本当に「それでいいの?」という気がすることがある。いや、そういう時代じゃないでしょ?的な。まぁ、それじゃ「お話にならない」という事なんだろうけど。時代の流れか。
変装の王子
展開的に、アキレスの従兄弟が戦争に出たがっていたので変装してまで出て行くという所は別に納得行かないわけじゃない。むしろ、なるほどそう来たかと思った。でもね、戦闘から戻ってきた兵士達に向かってアキレスが「気付いていなかった」というのは流石に「うそだろ?」と思った。鎧を盗まれたことにも気付いていないばかりか、自分の部下達が出撃したことも気付いていない。結局、自分のテントに連れ込んだ女性と「お楽しみ」をしていたって事なんだろうけど、なんか「勇者」としてはちょっと色ボケすぎじゃん・・・って思った。ダメじゃん・・・。
葬式シーン
勇者を天界へと送る葬儀のシーン。櫓を組んで火葬するんだけど、このシーンが「あ、またやるの?」みたいに何度も(それだけ勇者が死ぬからなんだろうけど)やる。あまりにも何度もやるので、流石に「うへぇ、もういいよ」と思った。それぞれの国のそれぞれの怒りを表現したいんだろうけど。
情けない王子
かなり強引に王妃を甘い言葉で口説いて国に連れ帰った王子。一騎打ちを申し込まれて足を切られる。そこで男らしく果てればまだ感動するものを、グダグダとヘクトル(兄王子)に泣きついてしかも相手をヘクトルが殺してしまう。そしてまたストーリーはドロドロの展開を見せるんだけど、そこでトロイから王妃を逃がす時にこの王子は「俺は逃げるわけには行かない」的に無駄にカッコ良さそうに戦場に戻る。なんかね、少し呆れました。で、戻った戦場での戦い方は「弓での遠距離無差別攻撃」。ダメです。こういう人。好きになれません。どんなにハンサムでも男として許せないものがあります。
アキレス腱
いや、それが描きたかっただけでしょう?的な「矢」の刺さり方。情けなくて涙が出てきました。シーンとして。

なんか、こんな感じ。あまり突っ込みいれなければ壮大なスペクタクルロマンってことで楽しめるとは思うんだけど。楽しまなくちゃ損だと思うけど。時間、とっても長いし。

*1:ファイト・クラブ:過去記事⇒id:kenbot3:20050325:p2