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ドラゴン・ハート

ドラゴンハート [DVD]
この映画は5年くらい前に見た。その時は「最近はCGもすごくなって面白いな〜」なんて感じで、盛り上がった気がする。なんとなく。
改めて見てみたんだけど、今見ると「どうなんだろう?」って思った。ちょっと大人になったのかも知れない。視点が。
まぁ、最初に見たときと状況も環境も違うしね。落ち着いて見たからかも知れない。ちょっと気付いた所を書いておきたいと思う。

普通にネタバレなので、それがいや〜んな人は読まない方がいいと思います。いつも通りに。

正直な話。エンターテイメント的な映画としてみた時には「まぁ、これはコレでもいいんじゃないの?」という気はする。別に「ヒドイ」という程ではないし。でも、ストーリーの背景、バックグラウンドを考えていくと、どうにも腑に落ちない事が多くなってしまい、なんとなく気味が悪いのだ。

たとえば、だ。ドラゴンの心臓を半分与えられた王子は、悪行の限りを尽くし始めるわけだが、この時に主人公の騎士はあろうことか「自分がドラゴンとした約束」である「王子に騎士の誓いを守らせる」という事を守れなかったにも関わらず、それをドラゴンが呪いをかけたからだ!みたいに言い出して「世界の果てまで追い詰める!」とか言いながら自分の騎士の誓いもどこへやら、ドラゴン狩りを始める。これ、明らかに逆恨みだ。

始めるだけならともかく、「世界中のドラゴンを一人で根絶」させてしまう。いや、もうなんていうかありえない。どんだけ強いんだよ。いや、違う。どんだけ弱いんだよ、ドラゴン。

ましてや、最後の1匹となったドラゴンと共謀し、自作自演でドラゴン狩りをしている振りをしながら村人達からお金を巻き上げる。その時のいい訳が「村人を苦しめているんじゃない。俺は領主から金を巻き上げているんだ」とか言っている。これも、なんか自分の都合で主張を捻じ曲げているだけの単なる我侭な人間じゃないだろうか。そんな人間が「騎士」を名乗ってていいんだろうかとすら思った。


ついでに言うが、王子が心臓を与えられたのは(多分)14〜5歳ぐらいの時だろう。で、それから17年後ぐらいのお話。つまり、だ。王子は既に王として30歳を超えているぐらいの歳なワケだ。が、それほど歳をとっているようには見えない。3年後ぐらいの話し?って感じ。登場する村の女性も10年以上経っているようにも見えないし。これもCGのなせる業だろうか。な、ワケは無い。


この映画、落ち着いてみると「描きたかったこと」が先にあって、その為につじつまを後から合わせたんじゃないだろうか。という感じがすごくする。とにかく、共感しなくてはならないハズの主人公に対して、むしろ嫌悪感のような物すら感じてしまう。

結論から言うと、本当にドラゴンを殺す必要があったのか?というところも気になる。個人的には、民衆が反乱して殆ど成功しかけたのであれば、そのまま「王子を地下牢に拘束しておけば、人間達はドラゴンと一緒に共存できて、しかも世界は安泰なんじゃない?」とすら思った。

背景のストーリーが置いてきぼりの映画だと思う。正直な感想としては。もうちょっと泣ける話だったと思ってたんだけど。当時は。