モノ。
GW中に部屋を見渡してみて、引越して以降に増えたものを考えてみた。最初の頃にバタバタと買った他は、新しいものをあまり買っていないことに気付いた。
何でだろうと思った。
10代の頃、少ないお小遣いで買ったものは宝物だった。細々としたそれらの物を捨てるなんて事は出来ず、ただひたすらに少ない機会で手に入れたものを大切に使っていた。
20代の頃、お小遣いの金額が一気に増え、ちょっと頑張れば何でも手に入れられるようになった。この頃には『限定モノ』などに目が眩み、『初回特典』や『予約特典』などでもらえる『コモノ』も大切なものと考え、自分では使いもしないのにやたらと集めて無駄に増えていった。
そして今。
物を欲しいと思わなくなった。『特典』という文字にも『限定』という言葉にもあまり反応しなくなった。むしろ、
『落ち着いた頃に買おっかな』
などと思うようになった。
自分の中で何かが変わってしまったのか。
たぶん、若い頃は自己の存在を『モノ』で表現しようとしていたのではないだろうかと気が付いた。モノを集めることで、集めたモノの種類や数によって、まだ定まっていない自分という己の個の確立を求めて。
歳を取り、『知識』や『習慣』などという『形のないモノ』で自己を形成し、表現できるようになった今。自己の存在を表現するための『モノ』にこだわりを持たなくなったのだろう。
そう、なのかもしれない。そう、思った。