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亡国のイージス

亡国のイージス [DVD]
TVで放送していたのを録画してあったので、買い物が一段落して家で休憩がてらに見てみた。TVとはいえ、まともに映画を見たのは久しぶりだ。で、今日のテーマは『亡国のイージス』。結構人気があった大作です。

率直な評価としては『面白かった』ですが、『突っ込みどころは結構あった』『作りこみはちょっと甘いかな』『っていうか、理解不能なところがあった』って感じだった。ま、原作を読んでませんから、理解不能なのは致し方なしですか。そして、この辺りはネタバレってことでこの先に書いてみたいと思います。過去類を見ないほどの長文。レッツゴー。

ストーリーを一切知らない人のために説明しておくと、
『某国工作員の作戦により、共謀する自衛官によりイージス艦が乗っ取られ、事前に強奪された新型毒ガス爆弾により東京の街は壊滅の危機に瀕してしまった。そして、正義感の強い男が一人でイージス艦に乗り込んでいったのだった』
って感じの映画。

正義感の強いって所は、「ホワイトアウト」*1っぽいし、毒ガス爆弾ってところが「ザ・ロック*2っぽいし、狭い艦内での攻防って感じが「クリムゾン・タイド*3っぽいし、偵察衛星のシーンはなんとなく「エネミー・ライン*4っぽいし、寺尾明の奥さん役の原田三枝子が奥さん役でありかつ、殆ど出てこないってのは「半落ち」*5っぽいし。これらが一つも頭を過ぎることなく見れた人は幸せかもしれない。

さて、まずは自分側からなかった所を整理しておきたい。さっきも書いたけど、超ネタバレ。

【判らなかったこと】

如月くんは生きてたってこと?
たぶんそう。あの絵は彼以外に書けないし、あんな爆発炎上なラストでは絵が艦内に残っていたとは思えない。でも、誰がどうやってどこで助けたのかいまいち不明。艦内の結構奥深くだった気がするけど。
如月君のお母さんは誰?
自殺したのはお母さんと思われ。で、お父さんを殺したハズだけど最後の宮津副館長が本当のお父さんらしい。ってことは、お母さんは再婚したってことかな。
如月君の兄弟?
宮津副館長には息子がいた。それは事故死した防大生。だけど、如月君も息子っぽい。ってことは、兄弟ってことで良い?如月君がお兄さんってことでOK?
最後に出てきたお母さんは誰?
宮津副館長の奥さんと思われる女性が最後に登場するけど「二人してお母さんを置いて」なんて言っている。後妻ってことでいい?
「ダイス」の権限って?
自衛隊の秘密諜報部っぽい「ダイス」の存在だが、どれほどの組織力と権力・権限を持っているんだろうか。あまりにも勝手な行動を取っているし、なによりも諜報部であるにもかかわらず、如月君の様な戦闘力の高い諜報員を育成する技術力はいったいどこにあるのか?と。そもそも、007じゃないんだから、あれだけの作戦をするのに単独潜入させること自体間違っている気がする。しかも、あんな若い人を。そして、勝手にあんなに大量の爆弾を持ち込んでイージス艦を沈める権限はどこにあるの?
水中キスシーンって何の意味が?
この映画、最大の謎。たぶんあの女の子が如月君を(一方的に?)好きになったってことなんだろうけど、その心理描写はほぼ皆無です。如月君が海に落ちた後、追うように飛び込んだのはたぶん、助けたかったからだと思う。でも、如月君の方は彼女を助けようとしない。明らかにスルー。それなら「彼女が如月君への他の工作員の攻撃を身を挺して庇う」演出の方がグッと来た気がする。これならまだ理解できる。
先任伍長の奥さんは亡くなってる?
「パパいってらっしゃ〜い」なシーンがあった時には奥さんがいた気がするんだけど、その後の台詞は全部「娘さん」しか出てこない。しかも、どうやら家を任せることが出来るぐらい結構大きくなっているっぽい。別に事件性がない(ストーリー上関係ない)のであれば、最初のシーンは工夫しても良かったんじゃないかと思う。
トントンツーなモールス信号
モールス信号で政府に通信を送った先任伍長だが、それがバレて主電源から予備電源に切り替えられて、白い服の人が「トントンツー」と何だか打ち始めた。一人が「おい、やめろ」とか言っていた気がするけど、あれは「どういう意味があったんだ」ろう。入ってきて欲しかったのか、誘い込むつもりだったのか。

この辺りは、原作読んでないとフォローアップ出来ない気がする。どうしよう、読むべきか、読まざるべきか。

で、後段はやっぱりツッコミポイントって事で。

【ツッコミポイント】

手旗信号は勘弁
一応、先任伍長は如月君から「偵察衛星」の話は聞いていたと思うけど、あのタイミングであの手旗信号はさすがに萎えた。まだ「ザ・ロック」の方が迫力があった。(そういえば、直前までの筒を落とすシーンとかはそっくりだと思った)そもそも、偵察衛星じゃ『見てくれているかどうかも判らない』って状況じゃん?そんな事して良いとは思えない。
如月君の持ち込んだ爆弾の破壊力
最後に宮津副館長が自分の命を賭して艦を沈めちゃったりした訳だけど、その時に使ったのが如月君が持ち込んだ爆弾。でもこれ、恐ろしいほどの破壊力。そもそも工作員の作戦を阻止するためだけなら、『イージス艦を沈没させる』必要はなく、『作戦不能』にするだけでいいんだから、機関室の爆破だけでいいんじゃないだろうか。あんな爆発じゃ、工作員どころか、自衛隊員にも相当な被害が出る筈なんだけど。だめじゃん、それじゃ。
紅一点の存在感
可愛いか可愛くないか?で言えば「可愛い」の部類に入るんだろうと思うけど、ストーリー上の存在感に関して言えば、ちょっと勿体無さ過ぎる。あの状況の中、たとえ兄妹とはいえ、女性が戦闘に参加している意義の様なものを見出せない。そもそも、喉を怪我していて喋れない*6らしいが、他の工作員も(演出上なのか)喋らないものだから、差別化が出来ていなくて特別な感情を抱けない。
先任伍長、あとは頼む」
宮津副館長の最後の方の台詞。艦内放送でみんなに伝えた内容。でも、それあまりにも唐突だし、何よりそれはあまりにも放棄的。せめて、先任伍長が言った「みんな逃げろ」的な台詞を謝罪とともに述べて欲しかった。でなければ流石に「それは変だろう?」って気分になる。
退艦隊員の通信手段
ストーリーの冒頭の頃、退官命令が出て殆どの隊員は救命ボートで避難する。だが、彼らは一切の通信手段を持たない状況なようで、何が起きているのかとかは軍の上層部辺りには一切情報が入らなかったらしい。東京湾の直ぐそばって事だし、それぐらいの距離の通信手段は何かしら持ってても不思議はないんじゃないだろうか?という気がした。
予知能力者的先任伍長
如月君が艦底から進入したんだけど、溺れ死にそうになった頃、先任伍長がタイミングよく現れた。どうしてあの場所に居たんだろう。そんな簡単に戻れる場所とは思えないんだけど。っていうか、そもそも海に落ちた時点であそこから助けようと思う方が不思議なんだけど。体をロープに縛って。
護衛艦の耐久性能
いくら破壊力の高いハープーンとはいえ、一発当たっただけで「ピーッ(消滅)」っていうのは不甲斐なさ過ぎではないかと。まぁ、当たり所が悪かったって事で片付けてもいいけど、それでは戦力にならなさ過ぎる。それに、攻撃する側にも問題がある。殆ど自爆テロ的な作戦において、2発しか打たないなどの弾薬の出し惜しみも如何なものかと。いいじゃん、あと2発ぐらい撃っておくべきだと思う。ま、『航行不能、総員退避』って感じが良かった気がする。
ハープーンの航行高度
発射されたハープーンを迎撃・爆発させた護衛艦。しかし、その映像をみると甲板よりかなり上っぽかった。たぶん、ハープーン程の性能なら5m程の高度で巡航すると思われる。あれでは「迎撃してくれ」って感じの高度に見えた。ずがーん。*7

他にもいいたい事はたくさんあるんだけど、ツッコミばかりじゃオチにならないので、評価すべきポイントも上げておきたい。

例えば、最初の頃は兎も角、ストーリーが進んでからの洋服の色は『白、青、緑』で統一されているので、立場的な混乱が少ないこととか。演技力はやっぱりすごいとか。なんか、どうでもいいことを言っているような気もするけど。

*1:ホワイトアウト:過去記事→id:kenbot3:20050316:p1

*2:ザ・ロック:何度も見過ぎたからか書いたことなかったか?

*3:クリムゾン・タイド:過去記事→id:kenbot3:20060416:p1

*4:エネミー・ライン:過去記事→id:kenbot3:20050519:p1

*5:半落ち:過去記事→id:kenbot3:20050310:p1

*6:それに自衛隊や日本が関係あるのかはいまいち不明。

*7:軍事関係に詳しいわけじゃないので、誤解しているかもなだけですが。