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クリムゾン・タイド

クリムゾン・タイド 特別版 [DVD]
まず単純に「潜水艦」という設定は、男心に無性に響く何かがある。海中で戦闘を行う唯一の特殊形態兵器であるという以前に、それ自体が戦艦や空母以上に一つの「世界」を構成しているという特異性、そして極限までの緊張感が演出される世界感がなんとも言えない魅力を放っているんだと思う。決して「男しか出てこない世界だから」というわけではありません。*1そこ、勘違いしないように。

ましてやこの作品で登場するのは、その潜水艦の中でも「SSBN」などと呼ばれる「戦略型原子力潜水艦」、通称「戦略原潜」なワケですが、そうなるともう世界を滅ぼせる程の力を持っているまさに「最強兵器」なんですから、必殺技が大好きな私達男の子にはもうたまらない訳です。でも決して「核兵器=必殺技」なんて思っている訳ではありません。*2そこ、誤解しないように。

と、いつも以上に意味不明な書き出しな今回の映画紹介。単純な感想としては「まさにアメリカ映画」です。もう、そういうのが好きな人なら両手を挙げてバンザイしちゃうような映画。嫌味で言ってません。私もこう言う映画は嫌いじゃないし。

ストーリーを簡単に書いておくと「戦略原潜の艦長と、新任の副官がミサイルの発射指令を巡って艦内でクーデターを起こす」というお話。「眼下の敵」とか「レッド・オクトーバーを追え」とか映画じゃないけど「沈黙の艦隊」とかが大好きな私としてはその辺りの戦闘がちょっと味わい足りない感じがあったし、ストーリーの殆どが「艦内クーデター」なのでちょっと消化不良気味だったかもしれない。

しかし、映画としてみた場合にはよく出来ていると思う。艦長の言っていることも副官の言っていることもどちらも正しく聞こえるし、その亀裂を生んだ原因は「敵艦との戦闘による偶然の惨事」であり、両者のどちらにも非が無いという状況では、潜水艦と言う特殊閉鎖環境における緊張感を見事に現していたと思います。そして、ラストは明らかにアメリカ映画的だし。

ま、それはそれとして気になった点をいくつか挙げておこうと思う。

  1. 艦内の水槽
    • ベッドルームで熱帯魚を水槽で飼っている人がいる。これ、本当の原潜内でもそんな人がいるのかは判らないんだけど、戦闘中はかなり上下前後左右に傾斜する潜水艦内で水槽を置くのはいかがなモノなんだろうか?と思った。戦闘が終わったら殆ど魚が出ちゃってるんじゃない?
  2. 艦長の犬の粗相
    • 艦長が飼っている犬が艦内のアチコチで粗相をしまくっている模様。そして、そのあとの世話を全くしていない。どうも通路は上下に水が落ちるように出来ていると思うんだけど、あれだと「上から誰かの頭の上に落ちてこない?」って思った。真剣に。そんなペットの世話もしない身勝手な艦長はヤダ。
  3. オタクを理解する物が艦を制する
    • 生真面目っぽい副官が実はオタクなんじゃないか?っていうシーンが何箇所かある。キャラクターの意外性、二面性な部分としてはとても興味深い。鼻持ちなら無い仕官たちと違って、結局「艦を動かしている」のは兵士達であり、彼らの中にはオタクが多いという偏見めいた感じがするだけでなく、ちょっと唐突過ぎる感もあったので、もう少し膨らませても良かった気がする。そうすれば、対立構造ももう少し理解しやすかったかもと思う。

って所か。他にもあった気がするけど、かなりの長文なんでこの辺で。

*1:とはいえ、実際オープニングに奥さんと子供が出てきただけで、それ以外には女性が出てきません。結論的に言うと「お色気ゼロ」ですが、男の魅力は臭いほどあるかもしれません。

*2:必殺技とか秘密兵器という言葉の裏には「禁断」という言葉が見え隠れするわけで、やっぱりそういう設定はなんとなくたまらないワケで。