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マッハ!!!!!!!!

マッハ ! プレミアム・エディション [DVD]
CGはもちろん、ワイヤーアクションも全く使っていないと言う点では、数日前に紹介した「FINAL FANTASY*1とは全く真反対に位置する映画と言えるだろう。

そんな本作は前から見たかったんだけど、やっと見ることが出来た。すげぇ、凄すぎる。っていうか、ぶっちゃけ「少林サッカー*2と微妙に通じる所があるような気がしていたんだけど、内容的にはむしろもっと純朴で昔のカンフー映画を見ているような気分になれた。最近こういういい意味で単純なストーリーにあまり出会えてなかった気がする。

個人的に、アクション映画の場合はあまり予告やストーリーなどは事前に見ないように心がけている。というのも、それを知ってしまったばかりに「結局 "それだけ" だったんじゃ?」という映画に何度か出会ったことがあり、予告編を見なければもっと楽しめたハズなのに・・・という「知りたい」と「知らなければよかった」との狭間でもがき苦しんだこともあるからだ。うそ。さすがにそこまでじゃない。

でも、事実「ふっ、世の中には知らなかった方がいいことがたくさんあるんだよ、ボウヤ」みたいな大人な都合って言うのもあるわけで、そういう意味では映画のプロモーションを考える人たちは「見せたい」と「見せたくない」の狭間でやっぱり悩んでいるんじゃないかと思うワケだけど、それはそっちの世界の大人な人たちに任せておくとして、自分としては「見ない」という選択を取ることにしている。

って感じで大幅に話が逸れたけれど、タイトルの大げささ(「!」の数が8個って今時の小学生でも使わないぐらいの極端さ)から単純にコメディーだろうと思っていたのである。無論、アジア映画特有のコメディー部分もたくさんある。だけど、この映画はとてもストイックなのである。


事前に知りたくな〜い!っていう自分のスタンスの事は棚に上げてネタバレ的にストーリーを書いちゃう訳だけれども、「盗まれた村の仏像を取り戻すために立ち上がった一人の青年と歓楽街に集う若者達のお話」である。いや、このシナリオをハリウッドに持って行ったら3秒で忙殺されそうな感じがしますが、この映画の良さはやっぱりこの中にある。

まず、「仏像を取り戻す」という動機だ。こんな動機はハリウッド映画ではまずありえないだろう。というより欧米的感覚では考えにくいんじゃないかと思う。でもその動機の純粋さ、ストイックさゆえに、私達は主人公に対して何の不信感も持たずに率直に応援することが出来る。変に復讐だとか憎悪を織り交ぜると目的そのものが不鮮明になり消化不良な映画になることが多いと思うのだ。

次に「青年と若者達」という部分である。これだけだと何の違いも無いようだが、あれだけ無敵でカッコイイ青年であるところの主人公だが、言い寄る女性が存在しない点がなんともストイックなのである。これも前段の話と同様純粋であるがゆえのメリットと言えるだろう。ハリウッドだったら「偶然の出会い」+「お色気ラブシーン」+「捕らわれて究極の二択を迫られる」の連続コンボとかそんな感じかと。で、二兎追って二兎得るみたいなおいしいのがヒーローだったりするし。ケッ。(←?)

そして最後は、「村と歓楽街」という相反する世界感がそこに存在することである。村育ちの主人公の純朴さとは逆の都市部で生きている若者達の荒廃ぶりがなかなかシュールな味付けとなっており、この映画を盛り上げているんだと思う。ま、こういうシチュエーションのギャップはいろんな映画で取り上げられているので別段珍しい物ではないのかもしれないが、やっぱり「幸せって何?」って事を考えさせられる部分だと思う。


この映画の見所は間違いなく最強の格闘技と呼ばれる「ムエタイ」なんだろうけど、その部分を嫌味なく出せているのはきっとタイ映画である所の「手作り感」なんじゃないかと思う。

*1:FINAL FANTASY:過去記事→id:kenbot3:20060228:p1

*2:少林サッカー:過去記事→id:kenbot3:20050604:p1