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ガンバの冒険

TVシリーズ ガンバの冒険 第1巻 [DVD]
CATVでやっていたのを久しぶりに見た。というか、(もういい歳したオヤジのクセに)楽しみにしながら見ていた。私にとっての原点に近いアニメ、「ガンバの冒険」である。

ってことはこの日記の右側にいるBlogpetのキャラクターを見て、既に気づかれている方も多いと思いますが、もうこの際だからカミングアウトしたい所存であります。ガンバ、やっぱりサイコーです。

とにかくもう20年以上も前の作品なので見たことも、聞いたこともない人も多いんじゃないかと思う。町ネズミ「ガンバ」が友人の食いしん坊「ボーボー」と一緒に海を目指すところから物語が始まり、港で知り合った他の仲間たちと共に「白いイタチのノロイ」を倒す冒険に出かける・・・というお話である。もちろん子供向けのアニメであるからしてストーリーは単純明快だ。

しかしこのアニメ。CG系の今時のアニメ映画と違った表現に、とにかく深い味わいがある。油絵っぽいぐらい強調された色調、山や空などの景色、すべての背景に対する陰影の使い方。そんな所がとにかく他とは一線を画す作品だ。

そして主人公がネズミとはいえ、当然人間も出てくるのだが、あくまでも「人間は(基本的に)怖い存在」として描かれており、それを言葉で表示現するだけでなく「演出」で行っているところもとても興味深い。具体的にいえば、人間には「色がない」「灰色」なのである。また、ネズミたちの動きに比べ、人間の動きは「ストップモーション」的にぎこちない動きとなっている。こうすることで、人間とは違う世界であると理解できると同時に、自分たちの身近にある知らない世界の物語であるということを判るようにしてある。うまい表現方法だと思う。

そして、今見ると信じられないほど「エグイシーン」が続く。イタチのノロイだけじゃなく、途中で出てくる野良犬や猫も「かわいい」とは程遠い姿で描写されている。*1そして、戦闘シーンに至っては右に左に吹っ飛ばされるは、上に下にと突き飛ばされ踏み潰され、その度に血は飛び散り苦痛に満ちた叫び声が連呼され、そして狂喜の笑い声が木霊する。小学生に上がる前の子(姪っ子とか)が見たら泣いちゃうんじゃないか?ってぐらいのすごいシーンの数々。

でも、そんな中でもシーン毎に知恵と勇気を振り絞って戦い抜く彼らの姿には、他のどんな作品にも負けない時代を超えた力強いメッセージがあることを認識させられ、今見てもなお勇気付けられた。


冒険者たち―ガンバと15ひきの仲間 (岩波少年文庫 (044))
さて、この物語の最後についてはネタバレになるので伏せておくが、それでも一言だけ言っておきたい。彼らは「冒険者たち」なのだ。そしてそれが男のロマンって奴なのだ。そこだけは判ってもらいたいのだ。振り返っちゃいけないんだ。「シッポを立てろ!」なんだ。

*1:これを「かわいい」にしてしまうと、本来のメッセージ性が大きく損なわれてしまうことを考えると、すばらしいことだと思う。