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リバー・ランズ・スルー・イット

リバー・ランズ・スルー・イット [DVD]
この日記で主に紹介する映画はアクションだったり、コメディーだったり(アニメだったり)する訳で、もの静かなストーリーのヒューマンドラマ的なものはあまり取り上げていない。深い理由はなく、そういう映画を見るときにはある種「今日は寝ないぞ」という決意があって初めて見たりするので、なかなかそういう状況にならないという事なのだ。

ずっとタメ録りしてあったこの映画はそんな程度の理由で今まで見なかったんだが、見終わった感想としては「見て良かった」だ。なんかどう表現したらいいのか判らないが、人生について前向きに考えられそうな気がしたのだ。

内容としては、1900年代前半、モンタナ州の田舎で生まれ育った2人の兄弟の成長の物語である。牧師である父親は厳しく、立派な父親だった。主人公である兄はそんな父親に逆らえずに幼少の頃から真面目に育ってきた。しかし弟はそんな兄とは対照的に自分の価値観で生き方を決める意志の強い青年に育っていった。そんな対照的な兄弟2人の生き方の違いを、兄の視点から語っている。

この映画、とても詩的である。タイトルは英語で書くと「A River Runs Through It.」。これをどう解釈するか?だが、見れば何となく判る気がする。むしろ、見ないと説明しても良く判らないような気がする。

落ち着いて考えていくと、この映画は見る人の立場で全く異なる感情を得るような気がする。父と息子、そして兄弟という立場のお話なので、基本的には男の映画といえる。だから女性が見たらどういう感想を持つのかはイマイチ不明だが、男の感覚で言えばその3人の内、「だれに共感するか」というのがとても大きな影響要因になる気がする。

私は次男であり、子供のいない立場であるからして、やはり感覚的に次男であるブラピの生き方にかなり近い物を感じた。彼の場合はちょっと危なっかしい部分が強すぎた感じがあるが、それでもむしろ「今の自分に足りない何かがある」という気がした。そして、映画の中でも「兄は常に弟にプレッシャーを感じている」という所もさりげなく表現していたりする。このあたりも無理がなくてとても美しい。


久しぶりに「いい映画を見たかも」と本気で思った作品だった。