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バニラ・スカイ

バニラ・スカイ [DVD]
昨日書いた「トータル・リコール*1を見ながらなんとなく思い出したのがコレだった。トム・クルーズ主演のサスペンス。

もともとはスペイン映画の「オープン・ユア・アイズ」をハリウッド版としてリメイクした物だそうだが、そちらは実は未見。なのであくまでもこの作品に関してだけ書きマウス。

曲がりなりにも「思い出した」ってぐらいなんだから、私的にはそれなりにインパクトがあった作品だ。ストーリーは良く出来ているし、映像もきれい。音楽もいいし、トム・クルーズもかっこいい。でも、敢えて言わせていただければ、そのトム・クルーズのかっこ良さがマイナスだったかな?と思ってみたりした。

ちょっとした浮気心で恋人の嫉妬から交通事故に巻き込まれた主人公。その事故で恋人は死んでしまい、自らも顔が歪むほどの醜い怪我を負ってしまう。順風満帆だった彼の人生は、この時を境に一気に奈落の底へと突き落とされてしまうのだった・・・。

というストーリー。ま、有名だから知っている人も多いか。ここまで書いておいて、「どの辺りがトータル・リコールとダブるやねん!」と思うかもしれないが、実はその先がある。

タイトルの「バニラ・スカイ」とは何を表しているのか。「バニラ色の空」。夕日とはちょっと違う空の色。それは現実ではない夢の世界を現している。そう、トータル・リコールに出てきた「リコール社」は「まるで本物と区別が付かない夢を見させてくれる仮想現実体験の会社」である。この「仮想現実体験」という所でちょっと似てるかな?と思ったのである。


しかし、この映画は別の側面を持っている。現実と夢の区別が付かなくなるほど混乱する「統合失調症」の世界を現しているといってもいいのかも知れません。事故を起こした彼女も、結果的に言えばそういう所があったのでしょう。そして、彼もまた同じ様な世界に入ってしまったことを現しています。その苦しみを映画という表現方法で説いたものですし、ラストには「踏み出せ。受け入れろ」とメッセージを残しています。*2

という意味でよく出来た作品なんですが、実は残念だったのは冒頭に述べた「トム・クルーズのかっこ良さ」です。怪我をした後の彼も何となくカッコいいままなのです。本人にしてみれば、あんな顔になってしまったことはそうとうショックなんだ!って感じなんでしょうけど、やっぱりトム・クルーズトム・クルーズ。怪我をした顔をしていてもなんとなくカッコいいので、その辛さが良く判らなかったんですよね。ま、個人的にですが。*3


とまぁ、そんな所にしかケチをつけられないってぐらい結構良く出来ていたかな〜というのが本音です。怪我より何より、夢と現実の区別がつかなくなるって事は辛いことですよね。でも、踏み出さなくちゃ。閉じこもってちゃダメですよね。*4

*1:トータル・リコール:過去記事→id:kenbot3:20050808:p2

*2:「オープン・ユア・アイズ」という前作のタイトルもそれを現しているんでしょう

*3:ま、ブ男のひがみですね。あっはっは。<無反省

*4:そんな簡単な物じゃないでしょうけど。