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ARMITAGE DUAL−MATRIX

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「ARMITAGE 3」*1の続編も書いておきたい。「3」の続編が「2」(DUAL)というのが引っ掛けっぽくて紛らわしいんだけど?とか思うワケですが、そういうものなので悩んでも仕方が無い。

これもイノセント*2と同じく、前作を見ていないとたぶん置いてきぼりを食う作品という点では同じ。じゃないといきなり冒頭の設定から躓きます。なので、この作品を説明する上で前作のネタバレとなるポイントに触れない訳には行かない、せっかく昨日隠したんだけど・・・という気分的なジレンマが起きてしまうんだが、そこはもう覚悟で書くことにする。

前作が映画的に言えば「愛情」であったことは昨日書いたばかりだが、この作品の場合は「家族愛」がテーマである。

以下、ハッキリいって【ネタバレ】。

ロボットで真実の家族愛を語った映画といえば、スティーブン・スピルバーグの「A.I.」*3を思い出す。ロボットが母親の愛を求めるために人間になろうと、ピノキオのストーリーをなぞって描かれており、人間の身勝手で捨てられたデイビッドの、ひたむきでまっすぐな「愛を求めるロボット」の構図が、人々に涙と感動を与える作品だ。

デイビッドは「愛玩用」だったが、一緒に登場するジョーのような「セックス・ロボット」は、イノセンスの中でも当たり前のように出てきた様に他の映画や作品の中で頻繁に登場する。VHSがベータを抜いてビデオ界を制したのは「アダルト・ビデオ」が主因というのは既に既知の事実だが、人間の三大欲望「食欲、性欲、睡眠欲」は、未来の世界においても当然のように求められていくんだろうと思う。

だが、この欲望は本来は微妙なバランスの上で成り立っている世界なのだと思う。ロボットはご飯を食べないが、人間は食べる。人間のためにロボットが大量に食品を生産する。労働力が確保され、人間は楽が出来るようになる。

・・・と、ココまではいい。ちょっと極論に発展していくが、人間が暇になり時間とお金に余裕があれば、それはもういろいろな遊びが出来る。ついでにロボットで性欲までも処理できるようになれば楽だし便利!って事になって、夫婦間のセックスレスが加速し「少子化」となる。その結果、人口が減り、必要な食料も減り、ロボットが過剰に供給されることになる。種が滅亡してしまう。

ちょっと発展しすぎなようだが、あながちそうとも言えないと思う。日本が少子化の原因は「子供が育てにくい環境」とよく言われるが、それ以前に夫婦間における性欲の減少が挙げられると思う。他に楽しめることがたくさんあれば、そちらに時間と気持ちが使われる。それで人生満足してしまえば、結果的には同じことだと思う。


さて、話が少しそれたように感じるかもしれないが、実は「アーミテージ」の世界はこの少子化に対する1つの進歩した考え方で語られている。世界は火星だし少子化の理由はちょっと違うんだけど、少なくなる子供を増やすにはどうするか?そこで、子供を増やすためのロボット「サード」が登場するのである。

言うなれば、人工授精、代理出産、人工保育を全部やってくれるロボットだ。だが、機械的なロボットでは育つ人間に問題が起きる。そこで、感情豊かなロボットに保育をしてもらおう!という流れなのだ。いや、アンドロイドと呼ぶべきか。*4


だから、他のロボット/アンドロイドを描いた作品とは主となるテーマに一線を画す作品だと思う。そういう世界で母親となったアンドロイドが母性という武器で(大げさに言えば、だが)「人間の存在意義と真実の愛を問う」ものである。素材が「アンドロイドである」という所が面白いワケで。人間だと絶対無理!死んじゃう死んじゃう!というような子供を守るための戦いも、アンドロイドの不屈の根性(そもそもあるのか?)で戦い抜く様は、思いがけず感動的なものである。


この作品は日本でよりアメリカでやたらと人気が出たらしい。前作の映画版は米国だけで8万本を超えるヒットとなったそうだ。そういえば、アメリカ人が好きそうなテーマかもな〜と思わず納得。でも、日本でももう少し人気が高くてもいい気がする。


前作を見て特に違和感を感じなかった人は、この作品も続けて見て欲しいと思った。個人的には、この作品・シリーズはかなり気に入っている作品だ。

*1:アーミテージ・ザ・サード:過去記事→id:kenbot3:20050713

*2:イノセント:過去記事→id:kenbot3:20050712

*3:A.I.:過去記事→id:kenbot3:20040827

*4:もうかなり前に見たので、ちょっとうろ覚えだけど、たしかそう。