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ヒーロー 靴をなくした天使

ヒーロー 靴をなくした天使 [DVD]
ダスティン・ホフマンが出ているという事で何の気なしに録画してあったヤツを見始めたのだが、タイトルの妙さとは裏腹に結構良く出来た作品だと気が付いた。そして、久しぶりにこういう不思議な暖かさを持った映画を見たな〜という気がした。

タイトルについては「妙」と表現したが、原題は「ACCIDENTAL HERO」だ。でも、個人的には邦題の方が良く特徴を現している気がする。もちろん、原題も「真のヒーローは誰か」というテーマそのものを表していいんだが、ハッキリ言っちゃえば「このタイトルなら他にもいくらでもありそう」なんじゃないか?と勘違いしそうだ。むしろ「シンデレラ」のように「靴をなくした」ことで「もしかして?」と予感させるこの映画の特徴的な部分を表していると思うので、個人的には邦題の方が気に入った。

そう、この映画はタイトル通りの「靴をなくしちゃうくらい間抜けで、ちょっと頼りない天使のお話」である。*1

主人公の情けさは見ているコチラもイライラしそうなくらい頼りなく、常に軽口を叩くだらしなくていい加減な男だ。いや、実際その行動や口ぶりはあまりにも適当で何も考えていないような感じすら受ける。あぁ、こういう人いるよね?と、自分のことは棚に上げて思って見たりもするんだけど、彼の行動は最初から最後まである事で一貫していたりするのだった。

それは「どんな場合であれ、決して慌てない事」だ。

どんなに事が重大でも、そこには普段と同じ彼がいる。彼が頼りがいのある男気溢れる存在だというワケでもなく、そして強い信念があるワケでもない。手癖の悪いコソ泥をやっているし、常にいい加減で誰からも信用されないような男だが、いつも自分の気持ちに正直に生きているのだ。

彼にとっては車の故障も飛行機の墜落もあまり変わりは無い。自分勝手な男のようにも感じるが、自分に正直であり常に変わらない人である。変わらないことの大切さというようなことも、この映画では語っているような気がする。


この映画のテーマは先に述べたように「真のヒーローは誰か」である。また、マスコミの過剰なまでの報道と演出に彩られた「ヒーローという名の虚像」もテーマだ。家族愛や親子愛も少なからず含んではいるが、それをあえて強調せずに主となるテーマに集中させることで、全体を通してとても判りやすいストーリーに終始している所がとても共感が持てる。

伏線の数々も「アレはいつ出てくるの?」というぐらい判りやすく表現されていて、その一つ一つが無駄なく配置されていると感じた。最後までダレる事の無い盛り上がりを見せてくれている。


家族と一緒に息抜きをしながら見るのにちょうどいい作品だと思った。おすすめ。

*1:シンデレラは間抜けでも頼りない訳でもないけど。例えって事で。